拾われた呟き
「だから堺は171cm。中学より伸びたみたいだな。良かったな。」
「…ありがとうございました。」
のののの伸びただとぉお!?良くないよ!!しかも171って170の大台越しちゃた。もうこんなに身長あったら可愛げの欠片もないよぉおおお!錫也先輩と並んで歩いても夜久先輩と錫也先輩のようなきゅんとするような身長差ないよ!最早、目線変らないレベルだよ!!
ぐちゃぐちゃ考えてちょっと泣きそうだ。泣かないけど。梓と天羽くんが次どこ行くか話し合い中で私に私の身長を聞いて来なかったことがちょっとした救いだ。どこにするか決めたらしいく歩きはじめた二人の後を着いて歩きはじめる。こんなに大きくなっちゃったら、もう錫也先輩撫でてくれないだろうな…
「錫也先輩…」
「何?」
歩きながら思わず呟いた言葉に返答が帰ってきた。後ろから。
「錫也先輩…?」
「うん?だからどうした?」
振り向くと体操服姿の錫也先輩。もちろん優しい笑顔付き。その笑顔にきゅんとするより呟いた先輩の名前を本人に聞かれていたことが恥かしい。
「ははっ椿、顔赤いぞ?」
「うお、珍しく堺が赤くなってんな。」
「あ、椿ちゃん!こんにちは!」
にょきっと錫也先輩の後ろから七海先輩と夜久先輩まで出て来た。
「…先輩方…こんにちは。」
「顔赤くしてきりっとした顔してもなぁ」
挨拶したら七海先輩に笑われた。恥かしい。
「こら、哉太。椿をあんまりからかうなよ?」
錫也先輩が笑う七海先輩の肩を掴むとなぜか七海先輩は急に静かになっておぅ、じゃあ俺ら先に次んとこ行っとくわ。と言って夜久先輩を引きずるように去って行ってしまった。
(哉太も悪い奴じゃないから許してやってくれな?)
(大丈夫です。七海先輩優しい方ですよね。)
20110329
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