入学式を終えて、好奇の目に酔ってふらふらと体育館を出た私にそのときはまだ知らない人だった一樹は今日と同じ言葉をかけた。

「何に怯えてるんだ?」

め一杯愛想の良い笑みでごまかした私は平気なふりで自己紹介をした。

「俺にはお前の未来が見えない。」

自己紹介への返事にしてはちぐはぐなその言葉を私は理解出来ないまま笑った。後から一樹は星詠み科だと知り、私は自分の特異をひしひしと感じることとなる。

「だが、見えないからこそお前を守りたい。」

胸に着けていた新入生を示す花が折れて落ちた。星詠みでも占星術でもないけどそれはきっと一樹に溺れて自分の首を締め上げる私の運命を示していたのだろう。

「おもしろいこといいますね。守ってくれるんですか?」

「あぁ。」

収まらない不調を圧し殺しながら私は笑う。私より幾分も大きな生徒会長は自信溢れる笑顔で私を見た。







入学式の日のこと

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