「なぁ、星華からはキスとかしてくれないのか?」

「ふふ、やだなぁ、先輩。私が自分からは触れないことは有名でしょう?」

「あぁ、そうだったな。」

放課後の廊下。最近好きだと言ってくれている先輩がそう自嘲気味に笑い、私の唇に自分の唇を近づけてきたときだった。

「こらぁぁああああああ!学校で何やってんだ!」

ことあるごとに聞くこの学園の有名人、生徒会長不知火一樹の怒鳴り声の後に先輩の顔がすっと離れた。それは先輩が離したのではなく、私が一樹に引っ張られたのだ。

「星華!お前!またか!!」

「うぎゃ、かずくん!引っ張んないでよ!伸びちゃう。服伸びちゃう。」

「知らん。」

「えぇ!?かずくんの横暴!」

「なんとでも言え。」

ご立腹な一樹にぐいぐいひかれ(というかひこずられ)私はいつものように生徒会室に連行されるようだ。一樹の迫力に顔をこわばらせる先輩にちゃんとバイバイして、私はこれ以上ひこずられないように一樹の歩調に自分の歩調を合わせて横に並ぶ。

「もう、かずくんのバカ。バ一樹。もうちょっとで先輩とちゅー出来たのに。」

「どうせ、恋人じゃないんだろ?普通、恋人じゃない男とキスしないから大丈夫だ。」

呆れたように息を吐くかずくんちょっと老けて見える(実際、私よりひとつ上だが)。笑ったらデコピンを頂戴してしまった。

「キスとか、そういうのは好きな人としろ。」

「うん。」

「お前絶対、分かってないな。」

「ふふ、分かってるってば。」



放課後の廊下、私が誰かとちゅーしたり、いちゃいちゃしているのを一樹が発見して生徒会室に連行。実は私はこの繰り返しがたまらなく好きだったりする。


日課のようなものです

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