一樹会長によって半ば強引に生徒会書記となった私はその日、前日やり残した仕事を済ますため少し早めに生徒会室へやってきた。

学園生活にも慣れ、そろそろ冬服から夏服に衣替えがしたい時期だった。

職員室から鍵を借りてきたのに生徒会室は空いていて珍しく一樹会長が仕事しているのかもしれないと期待しながらドアを開いた。

「こんにちはー」

しかし部屋に入った私の視界には誰も写らず、控えめの挨拶も空しく響く。

「誰もいないのに無用心だなぁ」

独り言を呟きながらソフアに近づくと誰もいないと思っていたことが間違いだと知った。ソファに人が寝ていたのだ。しかも女子生徒。

この人が多分、私以外の唯一の女子。確か名前は巽星華先輩。
寮の部屋は隣なのだけれど巽先輩は大体部屋におらず(私も部活やらで帰りが遅くて)会えていなかったのでこれが初対面。

白に近い金髪に目元のほくろ。健康的にキレイなプロポーションに同じ女ながらつい見とれてしまう。

「おい、月子そんなに見つめたらこいつに穴開くぞ?」

「うっわあ!!か、一樹会長!!」

いきなり耳元で囁かれた声に私は耳を押さえながら後ずさる。にやにやと笑う一樹会長はいたずら成功とでも言いたげだ。

「来たなら普通に声掛けて下さいよ。」

少し怒ってそう言えば一樹会長は笑ったままわりーわりーと口にした。



初対面

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