嫌いな人

 
「学校をうろついてるなんて珍しいな。」

図書館へ本を返すためになるべく人に会いたくないから授業が終わり人の少なくなったこの時間を選んで寮を出たのに、不幸にも会いたくない人に会ってしまった。同じクラスの不知火一樹だ。自信ありげな笑顔が非常にいらつく。

「ちっ」

「おいおい、舌打ちとはいい度胸だな。」

「話しかけてくんな。」

少し足を速めるも相手も同じように足を速めあわせてくる。

「いいじゃねーか。暇なら話そうぜ?」

「よくねーよ。」

「暇だろ?お!いいこと思いついた!」

「暇暇言うな!こっちくんな!!」

「よーし!こっち来い!」

「!?」

嬉しそうに笑った不知火は私の腕を掴むと強引に方向転換してぐいぐい歩きだした。

嫌だ、嫌だ。
これだからこいつは嫌いなんだ。



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