彼の言いたいこと

 
翌朝、いつもの場所に行くと珍しく哉太が先にそこに居た。

「哉太、おはよう。」

「お、おう。おはよう。」

朝から哉太に会えたことがすごく嬉しくて思わず駆け寄って挨拶をしたら哉太は照れくさそうに返してくれた。

「今日は、早いね。」

「まあな。その、小夜香に言わなきゃならねぇことあるから。」

「私に?何?」

哉太の横に腰掛けながらそう聞くと哉太は自分の頭をかいてあーとかえーとか言って黙った。

「何何?どうしたの?」

私に言わなきゃいけないことってなんだろう。胸がざわざわとしてその後、脳裏に顔を真っ赤にしてある言葉を言う哉太がふっとよぎった。

なんだ。なんだ。

これから何を言おうとしているのか分かった私の頬はゆるゆると緩む。

「あは、」

「な、なに笑ってんだよっ!?」

「ごめんね。うん、でも哉太が言いたいことはよく分かったよ。」

「は!?」

驚いた哉太の顔は脳裏によぎったとおりの赤さで綺麗な色の瞳が私を見ている。

「大丈夫。私は気にしてないよ。哉太が居てくれれば、それでいいの。」

「・・・ッ!!」

気まずそうに哉太は私から視線を外し、そういやお前星詠み科だったな、と呟く。私が無言のまま頷くと哉太が私から視線を外したまま小さな声で「悪かった」と告げてくれた。

「小夜香のこと気持ち悪ぃって言ったのは、その、本心じゃねぇから。」

「うん。分かってるよ。」

朝日を浴びながら私は笑いながらただ頷く。


ああ、やばい。一言一言交わすたびに好きになっていく。



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