授業中の静けさ


保健室のベッドに座りあれから数十分。俺の話が幼馴染みたちの話になったとき、ふと小夜香を見ると体育座りのまま寝息を立てていた。

「ったく、話せっていうから話してやったっつーのに」

帰るか。そう思い立ち上がる。大きめの音で軋んだベッドにひやりとしたが小夜香は起きる様子もなく安心した。

次会うときはぜってぇ謝るからな。

すやすやと眠る小夜香に勝手にそう誓い俺は保健室を出た。


なるべく音を立てないように保健室のドアを開けるとドアのすぐ横で星月センセが壁にもたれて立ったまま寝ていた。

「センセ、星月センセ。」

「ん…あ?あぁ七海か。話は終わったか?」

声を掛けると星月センセはあくびをしながら壁から離れる。

「まぁ、一応。小夜香寝ちゃったんであとよろしくお願いします。」

「ん。」

短く返事したセンセは保健室のドアに手をかける。

しかし、何かを思い出したように振り替えると俺の肩に手を置いた。

「あんなに愛想のいい夏目は初めてみた。これからも夏目と仲良くしてやってくれ。」

にこにこって言うよりにやにやに近い笑顔の星月センセに俺はただ歯切れの悪い返事しか出来なかった。



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