指が絡め取られる。その指は長くて、それでいてしっかりしている。

「おい、どこ見てる。」

一樹の指を見ていたら、指の主がからかうような声を出す。

「一樹の指、長くて綺麗だなって思って見てた。」

きゅっと力の入った手につられ、私も絡め取られた手を握れば一樹がそっと顔を近づけてくる。

「ちょっと、近い。」

「どきどき、してんだろ?」

緑の瞳で私の心をのぞく彼は余裕たっぷりに笑って、いやいやする私にじりじりと近づく。あっという間に吐息を感じる距離になる。

「し、てるに、きまってるで、しょ」

どうにか私の神経を痺れさす彼の甘い吐息から逃れようと首を動かすが、もちろん彼は逃がしてくれない。

「じゃ、もっとどきどきしとくか?」

「は?」

理解の追いつかない私の答えなど関係なしに一樹は距離を0にした。

「ばか、」

「嬉しいくせに」

静かに離れた唇に一樹の熱を感じながら私は溶けるように一樹に抱きつく。


ああ、余裕が欲しい。一樹の行動に反応して早くなる鼓動が私を壊す前に余裕が欲しい。




本当、壊れそうだ

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