図書室での課題も終わり何事もなく一日は終わったし、さぁて帰るかと下駄箱を開けるとカードが一枚入っていた。それにはよく知る人の字で

『放課後17:00教室の窓から外を見ろ。 生徒会一同』

と書いていた。なんだこれは、と思いつつ生徒会と言う文字を見ただけで一樹と月子ちゃんが幸せそうに笑い合う姿を想像して嫌になる。そう、私は一樹が好きだ。しかしそれは叶うことのない片思い。一樹が月子ちゃんを好きなのは周知の事実というか暗黙の了解的なものでその証拠に月子ちゃんを見るときの一樹の顔はそれはもう優しい顔だ。きゅんとするくらい(まぁどんな顔でもきゅんとするが)。
こんな日に一樹と月子ちゃんが仲良くこなす行事に参加しなきゃなんないのか、と肩を落としながらも逆らう訳にはいかないので私は教室へと戻った。

教室の時計を見るとぴったしの時間。私はため息をつきながら窓を開けて思わず息を止めることとなる。


なぜなら窓から見えたのはグラウンドに大きく書かれた『大好きだ!』の文字と自慢気に並ぶ生徒会一同。その真ん中に立つ一樹と目が合うと真剣な顔をして口を開けた。

「名前ー!俺はお前が大好きだー!お前が颯斗を好きなのは知ってる!だけどこれだけ伝えたかった。」

え、うそ、まじ?月子ちゃん好きなんじゃないの?ニコニコする月子ちゃんにニヤニヤする会計君。そして私同様驚く副会長君。混乱する私を差し置いて一樹は更に続ける。

「お前がいつも颯斗を見てるのは知ってるし、颯斗もお前を見てるの知ってた!だけど諦めれなかった!颯斗と幸せにな!」

大きな声で恥かしいことよく言えるなと感心しつつ思いこみも甚しいなと苦笑する。私はいつも副会長君じゃなくて一樹を見てたのに。そして多分、副会長君は私を見てはいない。ちょっとこれどういうすれ違いよ。嬉しくて緩む顔を押さえて私は口に手を添えて叫ぶ。

「私は一樹と幸せになりたい!私も一樹が大好きです!」



すごく恥かしい行動だけど、私の誕生日っていう特別な今日、貴方と想いが繋がった喜びに恥かしさは呑まれたようだ。






ア・ハッピーデイ!

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