放課後、生徒会の仕事をこなす一樹を待っていた。持参していた本を読み終わってもなお仕事を続ける一樹に目をやる。足を組み替えて目を伏せる。

(寂しいなぁ)

「名前こっち来い。」

私の脳裏に浮かんだ言葉を掬ったようなタイミングで一樹が私を呼んだ。

「仕事終わったの?」

「いや、まだだ。」

口ではそんなことを言いつつ素直に近付いた私を一樹は抱き上げて机に座らせた。

「机、座っちゃダメでしょ。」

「いい。俺が許す。」

「えー…」

「こうやるとほら、目線合ってドキドキすんだろ?」
豪奢な椅子から立ち上がり顔を近付けた一樹はほら、な?と自信満々に笑う。

「…うん。」

「名前さっき、寂しいって顔してたからいっぱい構ってやるよ。」

この人は人の心まで見えるのかもしれない。私の核心をついた彼はにっと笑い私の頬に手を添える。

ちゅ

おでこに。

ちゅ

眉間に。

ちゅ

鼻に。

ちゅ

唇に。

降り注ぐ口付けに酔う。

「おい、キスするときは目ぇ閉じろ。」

「あ、ごめん。」

彼の大きな手で撫でられるように目を閉じる。私の腰の横に置かれた一樹のもう一方の手に自分の手を重ねる。

ちゅ

柔らかい熱が唇から離れるのを確認して目を開けたら、意地悪くキラキラする緑の双眸の中に私が居た。








あぁ愛しい
私は緑の檻の囚人

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