その日の昼休みは錫也と月子が陽日先生に呼ばれてしまい俺はひとりで漫画を読んでいた。腹いっぱいだし、いい天気だしでうとうとしながら読んでいたから内容はあんま頭ん中入ってねぇけど。なんか漫画読むのもめんどくさくなってうんと背伸びしたときポンと肩に手を置かれた。 「どぅわ!!!?」 眠くて結構気ぃ抜いてたもんだから俺は大げさに変な声をあげてしまった。 「すみません。驚かせてしまいましたか?」 落ち着いたその声に振り向けば、最近錫也を介して知り合った後輩のすのーぷりんせす?こと苗字が立っていた。こいつは本当にいつもおんなじ顔してて何考えてんのかわかんねぇ。しかし、こいつは錫也の片想いの相手だったりする。どこがいいのかはわかんねぇけど。 「驚いたにきまってんだろーが!」 驚きすぎて思わず怒鳴ってしまった瞬間後頭部をごつんと殴られた。 「いってー!!」 「こら哉太、名前が泣きそうだろ。」 大体分かってはいたが俺の頭を殴ったのはいつのまにか戻ってきていた錫也だった。なにすんだよという俺の言葉は無視して錫也は苗字の傍に行ってなでたり心配したりしている。そんな中でも苗字の無表情は変わることなくいつもの顔で錫也に視線を移しただけだった。おいおい全然平気そうじゃねーか。 「おい、錫也。そいつ別に泣きそうじゃねーよ。いつもの顔じゃん。大丈夫だよ。」 よく見ろ。俺がそう言った瞬間、錫也がまるでかわいそうなものを見る目で俺を見る。 「哉太、よく見なさい。名前、怖くて混乱してる顔してるだろ。」 「は?」 怖い思いさせてごめんな、でも哉太も悪い奴じゃないんだ。そう続ける錫也に苗字はやっぱり真顔で大丈夫です。と返している。 なんでもできる俺らのおかんはとうとう読心術までできるようになったっていうのか?それとも あれか アイノチカラってやつか? [mokuji] [しおりを挟む] |