穏やかな休日の昼下がり。それは急にやって来た。

・・・と言っても怪獣とか宇宙人とか事件とかそんなものではなくて彼氏の龍之介が私の家に来たってだけですが。しかし、龍之介が通うのはこの辺じゃ有名な全寮制の学園だから休みの日にいきなりうちに龍之介が来るのは結構珍しいのだ。

「・・・どうしたの?」

「どうしたって、その、か、彼女に会いに来た。」

驚きのあまりたっぷり時間をかけて問いかけた私に龍之介はそっぽを向きながら答える。てか、龍之介と会うのいつぶりっけ?私、今日化粧してないや。部屋汚いし、夕方から友達と遊ぶ約束してるや。たくさんのことが頭の中を駆け巡りちょっと混乱。

「今日は、これから部活があるからすぐ帰らないといけないんだがこれだけ渡しに来た。」

喋らない私に業を煮やしたのか龍之介が小さな袋を私に押し付けるように渡してくれた。そっか、すぐ帰っちゃうんだと少し寂しくなったのは秘密。

「え?ありがとう。開けていい?」

「ああ」

なんでプレゼントなんかと思ったけど玄関に貼ってあるカレンダーを見れば今日は記念日だった。普通記念日は彼女が覚えてるものでしょと自分を叱る。がさごそと袋をあければシンプルな指輪だった。

「指輪・・・?」

「ああ。一応ペア、リングだ。」

顔を赤くしてそういう龍之介の手を見れば確かに私の手のひらにあるリングと同じものがついていた。

「ありがとう。一生外さない。大好き。」

零れそうになるものを抑えて伝えると龍之介がよしよしと撫でてくれる。

「喜んでもらえたのは嬉しいが、婚約指輪を渡すときは外してそっちをつけて欲しい。」

「・・・っ!!」

高校生の私達にそれは少し遠い話なのかもしれないけれど、とりあえず今は龍之介と離れたくなくて私は思い切り龍之介に抱きついた。



もうだめだ
好きすぎる

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