不本意ですが僕はそこらへんの女子より可愛いと思いますし、スタイルも悪くないと思います。生意気とは言われますが人当たりは悪くないと思います。手に入れようと思えば手に入らないものはないからあらゆることに興味は持ちますがその興味は持続はしません。


あるひとつを除いて、ですが。



毎朝、朝練を終えて校舎に入る前に二年の階を見上げる。8時5分きっかり。二年神話科の窓が開く。

「名前先輩!」

窓から見えた僕の愛する彼女の名を呼べば大好きな笑顔が降って来た。

「梓君、おはよう。部活お疲れ様。」

普段あまり大きな声を出さない先輩だけれども、毎朝のこの時間は大きな声で僕に声を掛けてくれる。

「ありがとうございます。今日も愛してます。」

口に手を添えて愛を叫んだら先輩の顔が赤くなる。可愛い。可愛い。次はどんな言葉で可愛い先輩を見ようかと考えていると後ろから肩を掴まれた。

「後輩のくせに朝から見せ付けんな。」

「そうだぞ、木ノ瀬!」

振り向くと犬飼先輩と白鳥先輩。白鳥先輩は問題ないが、問題は犬飼先輩だ。僕の愛する名前先輩と同じクラスなんてありえない。名前先輩と共有する時間が僕より長いなんて許されないことだ。

「犬飼先輩・・・」

「ん?なんだ?」

「今日は学校休んでください。」

「なんでだよ。てか、毎朝それだな。」

ため息をつく犬飼先輩にイラっとする。が、犬飼先輩なんかに時間を費やすなんて無駄だ。

「名前先輩!今行きます!!」

優しい笑顔で僕(と犬飼先輩たち)を見守ってくれている先輩にそう宣言して僕は校舎に駆ける。




愛しい愛しい貴女を抱きしめるために今日も貴女のクラスに行きますよ。




貴女への興味は永続しそうです
毎朝の日課

[ 9/35 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]