期待しちゃうよ


 
ある日の休み時間宮地君がうちのクラスに来てキョロキョロしていた。宮地君は星座科で弓道部。いつも眉間にぎゅーっと皺を寄せて真面目な顔をしてる。

「宮地君、誰かに用事ですか?」

後ろから声をかけたらおもしろいくらいびくってして振り返った。あぁいつもより眉間の皺濃くなってる。

「後ろからいきなり声をかけるな。」

「ごめんごめん。で、誰をお呼びしましょうか?」


ははっと笑いながらもう一度聞くと宮地君は少し黙った後首を横に振った。

「いや、いい。」

「え?でも誰かに用事があってここまで来たんじゃないの?」

「そうだが…呼んでもらうのは他の奴に頼む。」


何を言ってるんだ。別にわざわざそんなことしなくても私を使えばいいのに。

「なんで?別にお金とか取らないけど、」

そう言えば宮地君はなぜか顔を赤くしてため息をついた。てか、この人はもとがいいから何してもどんな仕草もかっこいいなあ。


「その、だな…」

「何?」

「苗字がだな…」

「私が?」

「苗字が他の男と話しているところはあまり見たくない…んだ。」







…!?
じゃあと言って足早に別の男子に話しかけに行く宮地君。私はただただドキドキしていた。

これは宮地君が私のことを好きだって期待しちゃってもいいよね?










20110326

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