君となら嫌いな雨も
梅雨だから仕方ないと言えば仕方ないのだがここ三日雨続きだ。雨の嫌いな私には憂鬱なことこの上ない状況。苛々しつつ教室の窓を開けて、雨なんて大嫌いだーー!!って叫んだら下からくすくすと笑い声が聞こえた。誰だ誰だと下に視線を移すとそこには西洋占星術科の金久保君がいた。
「朝から元気だね。」
優しそうに微笑む彼は私を見上げてそう言う。
「え、あ、おはよう…」
私はその素敵な笑顔にドキドキしながらとりあえず朝の挨拶をする。よりによって金久保君に見られてしまうなんて…恥かしすぎる。
「苗字さん」
金久保君に名前を呼ばれまた心臓が跳ね上がる。
「はい、なんでしょう?」
「僕ね、雨好きなんだけどそんな僕で良ければ今日、一緒に帰りませんか?」
しとしとと降り続ける雨の中。透明な傘越しに見える金久保君の笑顔にドキドキしながら私は顔をぶんぶんと縦に振った。
(雨、好きになれるかもしれない…!)
20110312
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