可愛いのは君の方
「だーれだ!」
後ろから大きな手が伸びてきたと同時にご機嫌な声が振ってくる。しかし手塞いだのは私の目では無かった。
「翼、そこ目じゃない。おでこ。」
「ぬぬ?!ほんとだ!ぬはは!名前はちっちゃすぎるのだ!」
前を向いたまま指摘すれば翼が笑いながら私の顔を覗いてきた。
「ちっちゃくて悪うございましたね。」
ふん、と我ながら可愛くない態度で返して歩を進めると私の歩幅に合わせて翼も歩きだす。
「今度、俺が身長グングン伸びるマシーン作ってやろうか?」
2メートル位になれるやつ!と楽しそうに話す翼。いやいや、いくらなんでも2メートルはいらない。
「遠慮しとくわ。」
私が右手をヒラヒラさせながらお断りするとその右手が、がしりと翼に掴まれた。
「…何?」
「やっぱダメなのだ!」
いきなり真剣な顔をして私を見る翼の気迫に押され思わず立ち止まる。
「な、何が?」
「名前はちっちゃいままがいい!だってその方が抱っこしやすいぬーん!」
「わっ!?」
真剣な顔をひらりと覆し翼は私をひょいと抱き上げた。
「照れてるのか?可愛い!」
待って、下ろしてと翼の腕の中で暴れる私に翼はトドメのようにあどけなく笑った。
(あぁ、もう大好きだ!)
翼の笑顔可愛い翼の笑顔可愛い←危険
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