ファイティングポーズ
さっきからうっとおしいくらい梓がベタついてくる。手を握ってみたり首筋に擦り寄って来たり。熱いうざい離れて。と言ってみてもあまり効果はない。
「ちょっと、邪魔。宿題出来ない。」
「僕がしてあげましょうか?」
「いいから離れて。」
「でも、先輩のバカな頭じゃいつまでたっても終わらないんじゃないですか?」
いつもの笑顔でそんなこと言うからカチンと来た。
「よし、お前リングに上がれ。」
立ち上がってファイティングポーズを取ると梓が意地悪く笑う。
「やだなぁ先輩って大胆だな。それならそうと言ってくれたら良かったのに。」
嬉しそうに制服のジャケットを脱ぐ梓。え?何?まさか本気でファイトしちゃう?宇宙科男子と本気で殴り合いしなきゃなんない?
「す、すみません。殴り合いは勘弁して下さい。」
身の危険を感じ素早く直立して頭を下げた瞬間私の身体はばさっと音を立てて後ろにあったベッドに倒れた。
てか、押し倒された。
私を見下ろす梓が妙に色っぽくてわーってなる。年下のくせに!
「先輩、宿題ばっかりでなかなか構ってくれないから。」
嫉妬かよ!可愛いなもう!とか思ってると梓は自分のネクタイをしゅるりと外した。
「いっぱい可愛がってあげますね?」
ちょちょちょ、ちょっと待ってくれ。ファイトってそっちのファイトかよ!まだ昼だ!という私の言葉は全て梓の唇に呑まれた。
(まままませガキ!)
(先輩と一歳しか変わりませんけど?)
20110331
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