局長?お母さん?いいえ、ゴリラです。

「だめーっ!!絶対だめ!!」
「そこをなんとかお願いします近藤さん!」


雨がしとしと降る朝のこと。

私は局長室で近藤さんに頭を下げていた。
起きて早々、銀さんが辻斬りに襲われたとの連絡を受け、さらには新八くんと神楽ちゃんがそれぞれ単独で行動し桂さんの行方を追っているとのこと。
怪しげな船を見つけた神楽ちゃんは一人で乗り込んで行ってしまったらしい。
夜兎族だから普通の人より遥かに強いのは分かっているけど、まだまだ幼いし女の子だ…心配でしょうがない。


「名前ちゃんが万事屋と仲がいいのは分かっている。あいつらの事が心配なのも分かるさ。…でもなァ名前ちゃん、俺達も同じ事を名前ちゃんに対して思っている!もう、あの時のように傷付いた名前ちゃんを見たくねェんだ…!」
「その節は本当に…御迷惑おかけしました。でも、あの頃に比べたら大分強くなりました。適わない相手に挑むつもりもありません、無茶はしません…!だから、」
「そうは言っても、名前ちゃん絶対無理するでしょ…」

お母さん知ってるんだからね!と、鼻を膨らませて腕を組み胡座をかく姿はどこからどう見てもゴリラだよ。
百歩譲って、娘が心配すぎて一人歩きも夜の外出もさせない過保護すぎるお母さんみたいなゴリラだよ。

冗談はさておき、私も引き下がる訳にはいかない。
近藤さんが心配する気持ちも痛いほど分かるし、また同じような思いもさせたくない。
けれど、心配なものは心配だから。
やがて根負けした近藤さんが仕方ないなぁ、と呟いた。


「……どうしても行くというなら、約束してくれ。明らかに実力差のある敵に遭ったら逃げること!万事屋を助けたら長居しないで戻ってくること!…そして……」



▲▼



沖田side.

「よかったんですかィ。姉御、行っちまいやしたぜ」
「…近藤さんが許可したんだ。止める理由はねェよ」
「なに格好つけてやがる土方コノヤロー。一番過保護なクセにムカつく」
「お前に言われたくねーわ!!」

万事屋なんか放っておけばいいのに。チャイナとメガネのために、姉御が怪我するかもしれないなんて冗談じゃない。

せめて行く前に自分に一声かけて欲しかった。
暫くしたら近藤さんから話があるだろうし、姉御なりに考えての判断だったんだろうけど。
いやそれよりも。自分も一緒に着いていけたらよかったのに。

カレンダーにデカデカと書かれた将軍護衛の文字に深いため息を吐いた。


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