売店ではやっぱコロッケパンが一番人気

やぁ、皆さんこんにちは。私は名字名前という者です。
男だらけの真選組で副長補佐やってます。

ついさっきまで土方さんと街中をパトロールしていたんですがね、ばったり遭遇した神楽ちゃんとメガネ…失礼。新八くんに半ば拉致られるようにして万事屋こと銀さん宅のソファに座ってます。
両隣に神楽ちゃんと新八くん。テーブルを挟んだ向かい側には、桂小太郎と常に行動を共にするエリザベスがちょこんと座っている。
新八くんが言うには、ここへ来てから一言も喋らず微動だにしないらしい。

銀さんはどうしたって?
依頼がどうのこうので外出してるよ。


「…あのさ、なんで私を連れてきたの?」
「名前ちゃんにも話聞いて欲しかったアル」
「エリザベスと話した事ないのに?あともう一個言っていい?土方さん放置してきちゃったんだけど」
「あんなニコチン野郎はほっとくネ。アイツ一人でもパトロール出来るヨ」

そうだね、土方さん一人でもパトロールは出来るよ。
でもね問題はそこじゃないよ神楽ちゃん、私が土方さんに職務放棄で怒られちゃうよ。

と言うか、エリザベスって喋るのか…?
基本プラカードでやり取りしている所しか見たことないんだけど。

「名前ちゃんなら意思疎通できるでしょ?」
「いやいや待って、その自信どこから出てきたの!?」

あったら便利だわそんな能力!

そうこうしてる間に、新八くんが奥からお茶といちごみるくを持ってきた。なみなみと注がれたいちごみるくを凝視したエリザベスの目からボタボタと涙が滴り落ちる。

泣いた!?
えっなに、銀さんみたいに糖尿病患ってて週一でしか甘いもの食べれないのに目の前にいちごみるく出されて泣いてるとかじゃないよね!?

「泣いたァァ!!やったァァ!!」
「グッジョブアル新八!!よくやったネ!!」

おろおろする私と対照的にヤッター!と声を上げる二人。いや待って、これはやったなのか?



▲▼



その後、桂さんが斬られたという現場に行き分かった事だが、最近横行している辻斬りに襲われ、その後の消息が不明とのこと。
代わりに多量の血が付着した持ち物が現場に残されていたらしい。


「すいません名前さん。真選組の方にも一応聞いておいて欲しかったんですが…桂さんの事だから、気軽に相談出来るのが名前さん以外思いつかなくて」
「あぁ…なるほど…」
「ヅラと名前ちゃんは仲良しアルからね」
「私は仲良くした覚えないんだけどね!」

桂さんとは銀さんを通して会うことが増えたのだが(もちろん彼らが引き起こす騒動に加担はしていない)、会う度に私を妹扱いしては駄菓子を買い与える謎の攘夷浪士という印象しかない。
が、心配な事には変わりない。

「大まかな話は分かったし、そろそろ戻るよ、土方さんも待ってるだろうし…。桂さんのことも、辻斬りを追いつつ探ってみるから」

探る、とは言ったものの。
今は副長補佐という立場上、業務の大半を土方さんと行っている。監察の頃に比べて一人で動ける時間が少ないから…ごめん、あまり役には立てなそうだ。

ペコリとお辞儀をしたエリザベスを見遣り、隊服のポケットで振動し続ける携帯電話を取り出す。
画面を見なくても分かる、絶対に土方さんだ。


「はいはい、名前ですけど」
«はいはいじゃねェよ!!お前、今どこにいる!!»
「心配しなくても、今そっちに向かってますよぅ」
«アァ!?»
「そんなおっきい声出したら血管切れちゃいますよ、唯でさえマヨネーズの摂りすぎで棺桶に片足突っ込んでるってのに」
«突っ込んでねぇよ!!»

ピッと電話を切り、じろりと睨む土方さんの隣に立つ。
あぁ〜やっぱり怒ってる。

「辻斬りの被害が多発してるって、今朝も近藤さんが言ってたろ。あまり一人で出歩くんじゃねェ」
「ごめんちゃい」
「お前に何かあったら、近藤さんまた泣くぞ。総悟をなだめるのも、もう懲り懲りだぜ」
「その節は大変御迷惑おかけしました…」

私がまだ監察に所属していた頃の出来事だ。
張り込みをしていた際、攘夷浪士が引き起こした爆発事故に巻き込まれ大怪我を負った事がある。

山崎くんから聞いた話だけれど、総悟くんは爆発事故を起こした攘夷浪士を斬りたくて仕方ない、敵討ちに行かせろと喚いていたらしく、土方さんが必死に宥めていたようだ。近藤さんは昼夜問わず泣いていたらしい。非常に申し訳ない。
それからやたら過保護になったような気がする。


「…途中でいなくなってすいません」
「、おう」

しんみりすんな、わかりゃいいんだよ。と呟いた土方さんに、頭をわしゃわしゃと撫でられた。



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