エンジェルさん:前


今日は学校が午前中で終わったので数日前から相談したいことがあると言っていたひまわりちゃんを誘い、皆で近所の公園でお昼を食べる約束をした。
今、その公園には侑子さんとモコナ、百目鬼くんにひまわりちゃんに私。たまたま居合わせた真太郎と高尾和成くん。極めつけは三人の四月一日くん………んん…?影分身?
と、いうのは間違いで、あまりにも素早い動作によって三人いるように見えただけだった。


「………あの、俺達お邪魔しちゃってよかったんですか?」

真太郎の隣でおにぎり片手に聞いたのは、ついさっき知り合った高尾和成くん。真太郎と友達で同じ学校に通っている。

「いいのよ。これも何かの縁だから」
「弁当も多めに作ってきたんで大丈夫ですよ!
あ、唐揚げいります?」
「じゃ、お言葉に甘えて!真ちゃんは?唐揚げ食う?」
「いただくのだよ」

重箱に所狭しと詰められた、四月一日くんお手製の料理はどれも絶品だ。もちろんおにぎりだってとても美味しい。
即答した真太郎の手にはおしるこの缶。普通のおしるこではなく餅入りのおしるこを買うためにこの公園に来たのだろう。
こうして偶然会ったのも、偶然ではなくて必然、なのだろうか。



「エンジェルさん?」

ひまわりちゃんの相談というのは、友達の学校でエンジェルさんが流行っていて、そのせいで困ったことが起こってる。なんとかならないか、というものだった。

エンジェルさんとは紙に五十音や数字、その他諸々を書いて鉛筆や十円玉をその上に置き、「ナニか」を呼んでその動きで質問に答えて貰う。皆も知っている「狐狗狸さん」の名前を変えたものだ。
エンジェルさんというソフトな名前に変えたところで危ないのは変わらない。みんなもやらないでね!

「ところで、その学校って?」
「えっと、たしか…秀徳高校だったかな」
「え…秀徳って…俺達んとこだよな?」

そんな変なこと起こってたっけ?と考える高尾くんとは対照的に、微かに顔を歪めた真太郎には心当たりがあるようだ。

「……ここ最近、嫌な視線を感じたり急に気分が悪くなることはあったが…」
「それは緑間くんが一人でいるとき?」
「はい」
「ならそれもエンジェルさんの影響ね…。
悪いコトは言わないわ、高尾くんと一緒に行動した方がいいわよ」
「なんかよくわかんねーけど俺は構わないぜー?相棒だしな!」

侑子さんの意味深な言葉とけらけら笑う高尾くんに目を細めた真太郎はくいっと眼鏡を押し上げた。
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