「ねえアッシュ、あんたの頭暑苦しい」 六神将のこの俺をエンゲーブなどという辺境(酷)に呼び出しておいて、奴は開口一番にそんなことを言った。 暑苦しい! 「いきなり呼びつけておいてなんだ!」 「あ、さすがエンゲーブりんごが安い」 「コラ人の話を聞け」 「ああ、支払いはよろしくねアッシュ」 りんごを紙袋に詰めてさっさと歩き出す律。請求はもちろんアッシュあて。 ちゃんと払ってあげるアッシュも偉いと私は思います。(byリグレット) 「ちょうど荷物持ちが欲しかったところなのよ」 「ではそのためだけに俺を呼んだと」 「だってまともなのあんたぐらいなんだもん」 「ハァ?」 「まずリグレットさんとアリエッタは除外でしょ?ラルゴが後ろ付いてきてたら誰もが道あけちゃうでしょ?シンクは仮面つけてて怪しいから」 「…ディストは?」 一応聞いてみるアッシュ。 「生理的に無理」 考えただけでも虫唾が走る、そう言いながら買い物を続ける律。 買い込むのはいいんだけどあれはどこに消えてるんだろうね。 そして買い物袋で段々と前が見えなくなってくるアッシュ。 「チッ、こんなもん一般兵にでも持たせろ」 「そしたら一般兵がかわいそうじゃん」 じゃあ俺はいいのか、とキレそうになったアッシュ。 カルシウム足りてないよ君。 「…それで、さっきのはなんだ」 「さっきの?」 「俺の顔を見た途端暑苦しいと言っただろうが!」 「あー、あれね」 ぽん、と手を打つ姿は普通の少女に見えなくもない。 実際は普通でもなんでもないが。 だいたい六神将のアッシュとタメ張れるような人間だ。 普通なはずがない(酷)。 「アッシュって髪の毛長いじゃん?それに赤だし。雪山とかならまだしも見た目暑苦しいよね」 「で、?」 「どうせなら切っちゃおうよ!ズバッとあんたのレプリカ君みたいにさ!」 ショートはあたしも好みだし、そう言って律は振り返った。 「フン、貴様の好みなどどうでもいい…」 「そーだねー、アッシュはナタリア王女一筋だもんねー」 「貴様っ!」 ボロボロボロ…、買い物袋から果物が転がり落ちてあたりに散らばった。 両手がふさがっているアッシュの代わりに律が拾う。 「あたしに拾わせるなんていい度胸だわ」 「元はと言えば貴様がこんなに大量に買い込むからだろう」 一人でこんなに持てねえよ、と素直に言えばいいのに。(byシンク) 面倒臭そうに荷物を運び入れるアッシュを見ながら律は笑う。 (どこに荷物を積み込んでるのかはご想像にお任せします。多分馬車か何かだよ) 「罰として今日は一日あたしに付き合いなさい!よし出発っ!」 「オイ律!勝手に決めるな!!」 あとがき⇒ . |