何がどーしてこうなった。
いきなり雨が降ってきて、雨やどりのために宿に入っのに、本降りになったらしく、このまま宿をとりましょうとジェイドが決めた。

ビショ濡れでひどく冷えた体を温めるために風呂に入って出てきたら、部屋にはアッシュがぼっちで髪と格闘していた。
長いせいかたっぷりと水気を含んだ髪はなかなか乾かない。
ドライヤーもタオルも使ってるのに乾かない。それどころかからまって時々「チッ」とか舌打ちしてるし。

…しかたない。

幸いにもベットにもたれて髪をいじっていたからオレはベットの上へ、そして新しいタオルをつかみ、ドライヤーも取り上げた。

「?おい、律、何してる」
「えー?なんか大変そうだし、手伝ってやんよ」
「おまえに頼む方が危険だ」
「まー、そう言わずに、はい、前向けー」

不服そうなアッシュは放置だ、うん。
少しずつ毛束を取って、根本から毛先へタオルドライしていく。それが終わったら下からとかして根本からドライヤーをかける。
ブオォォ―という風の中に、キレイな赤い髪が舞う。
気持ち良いのか、アッシュもどうやらもう不機嫌ではない。

「キレイだよね、アッシュの髪」

サラサラと手の中の髪をすくっては散らし、すくっては散らす。

「あぁ?そんなことはないだろ、レプリカも同じだ…」
「でも、さ、ルークのは明るくて、アッシュのは落ちついた色。オレは、こっちの方が好きだな」

ルークのもアッシュのもキレイな紅だ。ティアの栗色の髪もキレイだけど、オレはこっちのアッシュの暗い紅が好き。

「…チッ。俺は、おまえの髪の方が、…好きだ」
「え、普通の黒だよ?あ、オレのは光に透かすと茶色だけど、さ」

自分の短い髪を少しつまんでみる。肩にもつかないくらいのショートカットはタオルドライですぐに乾いた。

「でも俺は、律の髪が……」

いつのまにかドライヤーは止められてて、オレの方を振り返ったアッシュが目の前にいた。
そのまま手袋をはずした手を伸ばして、額から後へかけて、指ですく。

「絡まることもない、傷んでもない、キレイな髪だ」

何度も髪をすきながら、フッ、とアッシュは笑った。




友人である琉ちゃんに許可をいただきました。
アッシュ夢です美味しいですね。
どうしてこんな風に書けるのかしら私には出来ません。すぐにギャグになるのでとても羨ましいです。
琉様ありがとうございました!!

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