パーティーの片付けが終わった後、栄口と名前は一緒に歩いていた。
片付けはこっちでやるから―と追い出されてしまった。
気が利くセリフにふふっと笑って心の中でお礼を言う。

昇降口に辿り着くと名前が立ち止まった。

「楽しかった?」

静かな空間に名前の声が響く。

「楽しかったよ。ありがとう、わざわざ誕生日会を開いてくれて…」
「お礼なんていいよ。私がやりたかっただけだし。
…もしかして、迷惑だった?」
「そ、そんな事ないよ!むしろ嬉しかったよ?」
「本当?…良かった。
あ…、ごめんね。朝とかあんまり喋んなくて。話してると言っちゃいそうな気がして…」

申し訳ないと言いたげな顔で話す名前。
誤ることなんて無い。確かに初めは嫌われたのかと思ったが自分を祝ってくれる為だったのだ。
それが嬉しくてたまらなかった。

「大丈夫だよ。全然気にしてないし。
でも最初は名前に嫌われたかと思ったよ」
「なっ、そんな事あるわけないじゃん!!」

名前の声が廊下に響き渡る。大きな声を出してしまったのが恥ずかしかったのか顔を俯かせる。
一拍おいて顔を上げた名前の顔はほんのり赤い。

「私は…勇人の事、嫌いになったりしないよ?
その、勇人の事…好きだし」

目を逸らして言う姿が可愛いと思った栄口は笑顔になっていた。
「可愛い」なんて言ったら怒られそうなので言わないけれど。

「また来年やろう?」
「うん。でも来年は2人で」

2人で顔を見合わせ、ふふっと笑い合った。








この後「来年も作るね」なんて話をしてたら田島が「俺も!」って乱入するに違いない。
そして水谷が「いいところだったのに…」とため息をつく。実はみんな見てたっていう。



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