『誕生日おめでとう、栄口!!』

突然の破裂音にびっくりして目を丸くする。
そこに居たのはクラッカーを持った部員達の姿。

全く状況が飲み込めない栄口は「…え?」と間抜けな声を上げた。

「"え?"じゃねーよ!今日はお前の誕生日じゃんかー!!」
「そうそう。んで、誕生日パーティーしようぜって話になってな」
「お前に隠すの大変だったんだぞー?」

「こいつは言いそうになったしな…」
「仕方ないじゃん、楽しみだったんだからさー!!」

ため息を吐きながら指を指す花井に田島は反論する。
部活中花井が田島を連れて行ったり、阿部が三橋を睨みつけていた理由がこの事が自分にばれないようにだったと知り、安心した。

この計画は名前が提案し、何から何まで全て準備していたらしい。
「すげー張り切ってたよなぁ」とうなずいているメンバー。
その話を聞いて嬉しかったのだが、名前の姿が見当たらない。

「阿部、名前は…?」
「あぁ…それなら「お待たせー!!ケーキ持って来たよー!!」

名前が篠岡と共に教室に入ってきた。
二人の腕には大きな箱が抱えられている。

「勇人、誕生日オメデトウ!!」「栄口君、おめでとう」

名前の笑顔に頬を緩める。最近はぎこちなかったので久しぶりに会話した気分だった。

「手作りケーキ持ってきましたー!!」

机に置くと真っ先に田島が飛びついたが、なんとなく予想がついていたのか花井が「主役は栄口だろうが!!」と言いながらすかさず机から引き剥がした。
田島は口を尖らせ、その様子をクスクスと名前は笑っていた。

「大丈夫、ケーキ2個作ってきたから。ね、千代」
「うん!」

じゃじゃーん!と箱を開く。現れたのは綺麗にデコレーションされたチョコレートケーキとイチゴを使った生クリームのケーキ。
どちらも店で売っているような出来栄えでとてもおいしそうだった。

「これが手作りってスゲー!!」
「2人で頑張ったんだから当たり前じゃん!!
ほら、ロウソクに火付けよっ」

電気を消しロウソクに火を付けると教室内が仄かに明るくなる。
みんなが着席し名前の「せーの」の掛け声と共に歌を歌った。

『ハッピーバースデー、トゥーユー♪ ―…』

歌い終わると、少し照れながら火を消した。
隣でニコッと笑う##NAME1##の笑顔につられ、栄口も笑顔になる。
自分の誕生日を祝ってくれたメンバー達も笑っていて胸が熱くなった。

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