肌をじりじりと焼く太陽。
そして日本特有のじめじめとした暑さ。
途絶える事なく鳴き続ける蝉によって余計に暑く感じた。

「……」「………」

只でさえ、日本の夏は温度が低くても湿度が高いせいで茹だってしまうのに、真夏日となった今日、喋る気力も無いのか無言で2人は歩き続ける。
短めの階段を登り、あと少しで上がりきるところで、阿部は下段の方で足を止めた。

「なぁ…」

呼び止められた名前は振り返り、阿部を見る。
すると彼は唐突に−しかも真顔で−言い放った。

「お前、スカート丈短くねぇか?」
「…は?」

―ついに、暑さのせいで頭逝っちゃった?

呆気にとられ名前は呆然と彼を見たが、阿部は憮然とした態度のままだ。

うん、聞き間違いだ。
きっと自分の頭が暑さのせいでイカれたんだろう。きっとそうだ。そうに違いない。

「ごめん、聞き取れなかった。もっかい言って」

聞き間違いだと思いたい名前の希望は、呆気なく破られた。

「いやだから、お前のスカート丈短くねーのかっつてんの」

呆れてものも言えない―とはこういう事を言うのだろう。
本当に何を言っているのだろうか、この男は。とにかく開いた口が塞がらなかった。
そもそも、名前のは同じマネージャーである篠岡とさほど変わらない丈なのだ。
それに今まで一度も教師に「短い」等と注意された事もないのだが。

「えーと…長さは千代とあんま変わんないけど」
「階段とか登ると中見えそうになってんぞ」

―あぁ、(色んな意味で)駄目だ、コイツ…。

どこ見てんだ、と無意識にスカートを押さえる。
大分哀れむ目で見ればそれが気に食わなかったのか、阿部はムスッとして「何だよ」と言った。
「何だよ」と言われても困るのは名前である。

「べ、別に中にちゃんと穿いてるし、足が少し見えるくらい…」
「それが嫌なんだよ」

―いや、意味が分からない。

顔を傾げれば、大きな溜め息を吐かれた。

「俺以外の奴らに見られたくないんだよ」
「……」

名前は黙って阿部を見つめた。
しばし無言の時が流れ、蝉の鳴き声だけが街に響く。

「隆也…」

しばらくして名前は口を開いた。

「いや、隆也でもダメだから」
「………」
「不満そうな顔すんな!!」






あんまり阿部好きじゃないんだけど(阿部ファンの方すみません…)書いちゃったよ。
こういうの阿部はさらっと言えそうなので…
なんだかよく分からん物になってしまいました。


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