暑い。 今夜は気温が上がるとニュースで見たからキャミソールと短パンと薄着で寝たはずなのに。まだ6月上旬なのにまるで熱帯夜みたいじゃないか。 当然布団なんてベットの端に寄せて寝ていた。被っていなければある程度涼しくなる−少なくとも暑くはない−はずなのに全く効果が無い。 暑い上にベットがいつもより狭く感じるのは気のせい? 不思議に思い目を開けてみた。 「あ、起きた?」 そこにはニコニコと笑っている臨也がベットに入っていて… あたしの意識はここで完全に覚醒した。 かなり驚いていたけど冷静を装えたあたしは褒めたものだと思う。 騒げば騒ぐほど、奴の思う壺なのは高校時代から既に理解している。 部屋に居るというのは別にいい。鍵はこっそり作ったのだろうし。臨也にとってそんなの朝飯前。 不法侵入という完璧な犯罪だが、そんなもの「何ソレ?俺には関係ないことだよ」と一蹴して終わり。その辺はもう諦めた。 問題はベットに入っている事。しかもこんな暑い日にジャケットに長ズボンのいつもの格好でやるのは、暑いと思って薄着で寝たあたしに対する嫌がらせか。 とりあえず内心の動揺を悟られないようにゆっくりと起き上がった。 「何でベットに入ってきてんの…」 「仕事が終わったから、なんとなく名前の部屋に来たんけど寝てたんだよね」 当たり前だ。今何時だと思ってる、もう夜中だぞ。 生活リズムを自分と同じだと思わないで欲しい。というか"なんとなく"で起こされたのか。 「寝顔でも見ようかなー、なんて思ってたんだけど名前がそんな挑発的な格好してるから、つい」 つい、じゃない。頭を抱えたくなった。 暑いからであってそんな意図はない。ただいつもより肌の露出が多いだけだし。 それに全国各地にこういう格好で寝てる人はいっぱい居る。 「あのね…そんなどうでもいい事で起こさないでくれる? それに何なの挑発的って」 言い終わると同時くらい、臨也の指が顎に添えられる。 いつもとは違う色気を漂わせてながら。獲物を狙うようなケモノのように。 妖しく光る赤い目に見つめられ心臓が高鳴った。 「そんな格好してたら襲いたくなるでしょ?」 背筋がゾクリとした。反射的に距離を取ろうと後ずさったが、すぐ後ろにあった壁がそれを阻む。 慌てふためくあたしが面白いのかクスクスと笑いながら徐々に迫ってくる。 太ももに指が這う。それだけで体温が上昇する。 厭らしい手つきで撫でまわされ、足の付け根ギリギリを触られる。思わず息を呑んだ。 臨也の顔が近づいてきて唇が触れる寸前。 「っ!!」 我に返って思い切り殴る。 急に手を出したからか、はたまたあたしがされるがままになると油断していたのか分からないけれど避けきれず臨也はベットから落ちていった。 あまり効果が無かったのか、すぐに殴られた頬を擦りながら立ち上がる。 「いたた…暴力反対」 「いきなり変な事するから…!!」 「満更でもなかったくせに?」 そんなわけあるか、と言ってやろうと思ったのに言葉が詰まる。 確かにいきなり何するんだと思った反面、「臨也なら良いかもしれない」と思った自分がいた。 少しだけ期待してしまった自分がいて悔しい。 「ま、名前がまだまだお子様って事だよね」 今のちょっとカチンと来たが黙っておこう。これでまたなんか言ったら「じゃあ試してみる?」なんて言って来そうだから。 「さてと、帰ろうかな。面白い名前も見られたしね」 後半の部分がかなり気に食わないが"帰る"という言葉にほっと胸を下ろした。嵐が過ぎさり、これでやっと眠りにつける。いつの間にか臨也も元に戻ってるし。 そこで油断したのを後悔することになる。 「そうだ」 玄関へ向かおうと背を向けた臨也が立ち止まる。 まばたきの、ほんの一瞬で目の前に臨也の顔。唇に触れた柔らかいもの。 頭が真っ白になり呆然としているあたしの耳元で一言。 「諦めるつもりはないから」 内容とタイトルがなんかマッチしてない気がする。タイトル若干ふざけてるなぁ… どうやら私にはエロい感じのは書けそうにない。雰囲気が掴めてねーんだぜ。 . |