知っている。知っているんだ。彼が自分を愛していない事ぐらい。


―彼女は知らない。
俺が彼女を愛している事を。



いや、彼は愛してくれている。ただそれは"人間"という点であり"私"を愛している訳ではない。


―いつの間にか彼女を愛していた。
"人間"という部類カテゴリではなく、"1人の女性"として。



自分はそれを承知で付き合っている。この男が好きだった。
否、"だった"ではなく現在も好きなのだけれど。



「好き。」




何気無く、呟いてみる。何でもないように、でもほんのり本音を乗せて。


―さりげなく、彼女が呟いた言葉。
心なしか嬉しくなった。もう、こんな感情なんてなくなっていたと思ったのに。




「俺もだよ。」




それが本心ではない事ぐらい理解している。何ともいえない痛みが襲う。
それを気付かれないように平壮を装おった。


―そうやって君はいつも悲しい顔をする。
心が締め付けらけるような感覚に襲われた。



いくら甘い言葉を囁かれても、身体を重ねても。


―どれだけ自分が「愛してる」と言っても。
身体を重ねても。



彼は何とも思ってない。全て、偽りなのだ。


―彼女は信じていない。
全て、本当の事なのに。



この関係を変えたかった。"私"を愛してほしかった。


―今の関係を変えようと思った。
"彼女"を愛したかった。



でも無理な事だと分かっている。


―けど、無理だった。



なぜなら彼は"私"を見ていない。


―だって彼女は嘘だと思っているから。


            

「愛してるよ、名前」




そして彼はまたいつもの様に嘘を吐く。


―心から言っているのに、俺の気持ちは君に届かない。



この関係は変わらず、この想いも、永遠に交わる事はないのだろう。


―どうすれば彼女に想いが伝わるのだろうか。
  もう、この関係は永遠に変えられないのだろうか。








なんだか分かりづらいものになった…?
2人は上辺だけの"恋人"をやってたんだけど臨也がいつの間にか好きになっちゃった…と。
でも彼女はそんなことを知らずに、嘘だと思って、2人共両想いになのに気持ちは交わらない…みたいな(^-^;)


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