STORY
今日も今日とて松野家の八つ子たちは暇を持て余していた。


「ひー」

「まー」

「だー」

「なー」


誰が言い始めたのか1人が「ひ」と発音すればきょうだいの誰かが言葉を一言ずつ繋げていく。これもやる事のない松野の八つ子の中では恒例となっている光景だ。
言い終えた後も誰かが何かを思いつかなければ沈黙が帰ってくる。今回もそうなるーーーと思われたのだが。やはりその沈黙を破ったのは八つ子の長男にしてリーダーの一角、松野おそ松だった。


「あ〜!!!暇!!ねえ、チョロ松!なんか無い?」

「はあ?!急に言われても……あ、課題やったら?」

「げ、、それは却下」


おそ松に話題を振られたチョロ松は課題の話を出すが、おそ松は相手にはせずに課題の存在をすぐさま頭の中から消した。


「じゃあ、しりとりしよ!!」


そこに口を挟んだのは同じく暇を持て余した十四松だった。十四松が提案したしりとりという話題におそ松は勿論、興味なさげな奴らも耳を傾けていた。


「じゃあ僕からね!!えっと……リンカーン!」

「……十四松?!」


何故か初っ端からリンカーンと発言したことで、だれに繋がるわけでもなくしりとりは終わってしまう。それにおそ松は驚愕の声を上げた。だが、終わってしまったかと思われたしりとりであったがまだ続いていた。


「…ンジャメナ」


そう、部屋の隅で猫に餌をあげていた一松が繋げたのである。


「おぉー!一松兄さんすっげー!じゃあね…ナン!」

「またなの?!十四松兄さん!」


だがしかし再び何故か答えた十四松はまたしりとりをフラットへと返してしまう。今度こそ終わってしまう…!!筈だった。
次にしりとり終了の危機を救ったのは、なまえであった。


「ングル…♪」


小さく、確かに呟いた。それに興奮したのか十四松はキラキラと目を輝かせ、なまえの
隣にいたカラ松も好奇心が抑えられない顔で2人を見ていた。


「それでその二つって一体何なの?」


みょうじが聞く。周りもそれに便乗してうんうんと首を縦に振った。


「ンジャメナはチャドの首都」

「ングルはナイジェリアの北部にある都市ダヨ」

「…へぇ〜。チャドってどこにあるの?一松兄さん」

「アメリカ北部」


トド松の質問に一言で答えた一松は猫を撫で始めた。既に意識は猫に移ったようである。


「な〜んかしりとりも飽きたなあ」

「いや、おそ松兄さん何もしてないからね?」

「じゃあ早口言葉な!3回ずつ言って一番難しい奴を間違えずに言えた奴が優勝」


チョロ松のツッコミも無視したおそ松は我先にと口を開いた。その横で「無視?!」と騒ぐチョロ松がいたが誰も触れることは無かった。


「じゃあ俺からね。
ブタがブタをぶったらぶたれたブタがぶったブタをぶったので、ぶったブタとぶたれたブタがぶったおれたブタがブタをぶったらぶたれたブタがぶったブタをぶったので ぶったブタとぶたれたブタがぶったおれたブタがブタをぶったらぶたれたブタがぶったブタをぶったので ぶったブタとぶたれたブタがぶったおれた」

「おそ松兄さんすっげー!じゃあ次、僕言いたい!!」

「じゃあ次は十四松な」

「頑張って!十四松兄さん」

「頑張りマッスル!
歌唄いが来て歌唄えと言うが、歌唄いくらい歌うまければ歌唄うが、歌唄いくらい歌うまくないので歌唄わぬ歌唄いが来て歌唄えと言うが、歌唄いくらい歌うまければ歌唄うが、歌唄いくらい歌うまくないので歌唄わぬ歌唄いが来て歌唄えと言うが、歌唄いくらい歌うまければ歌唄うが、歌唄いくらい歌うまくないので歌唄わぬ」

「流石だな…ブラザー」

「じゃあカラ松行きなさい」

「え?!」


突然みょうじに名指しされたカラ松は一瞬素が出たが、直ぐに持ち直すと不敵な笑みを浮かべた。


「いいぜ、優勝は俺がいただく!!
アンリ・ルネ・ルノルマンの流浪者の群れは、アンリ・ルネ・ルノルマンの落伍者の民と言い改めねばならぬアンリ・ルネ・ルノルマンの流浪者の群れは、アンリ・ルネ・ルノルマンの落伍者の民と言い改めねばならぬアンリ・ルネ・ルノルマンの流浪者の群れは、アンリ・ルネ・ルノルマンの落伍者の民と言い改めねばならぬ」

「……
パムポパムポニュチューハイエンドピューチューぱんみぇちょんぢゅきょんちゅぴょパムポパムポニュチューハイエンドピューチューぱんみぇちょんぢゅきょんちゅぴょパムポパムポニュチューハイエンドピューチューぱんみぇちょんぢゅきょんちゅぴょ」

「え」

「何それ?!言いづら!!」


言い終えたカラ松の横で一松が小さくだが、噛まずに早口言葉を言っていた。今更のようだがこの八つ子、どいつもこいつも滑舌が超いいようである。
さて、次は誰が行くとなった所で下から松代の「八つ子ちゃんたちーご飯よー」という声が聞こえてきた。どうやら白熱しているうちに時間が経っていたようである。


「お、もう飯かー。こりゃ俺が優勝かな」

「おそ松兄サンはないと思うヨ」

「そうだね」


なまえの言葉に頷いたチョロ松はニッコリと微笑むと言った。「だって優勝は僕だし」


「え?」

「カモシカもシカもたしかにシカだがアシカはたしかシカではない江戸の殿どのの喉にも浅田飴水戸の殿どのの喉にも浅田飴どの殿の喉にも浅田稀に見アルミニウム野口さんと野本くんがもののみごとにものわかれ右目右耳右耳右目紙噛む亀も神☆ヴォイス青春映画ストーリー映画「神☆ヴォイス」 11月公開カモシカもシカもたしかにシカだがアシカはたしかシカではない江戸の殿どのの喉にも浅田飴水戸の殿どのの喉にも浅田飴どの殿の喉にも浅田稀に見アルミニウム野口さんと野本くんがもののみごとにものわかれ右目右耳右耳右目紙噛む亀も神☆ヴォイス青春映画ストーリー映画「神☆ヴォイス」 11月公開カモシカもシカもたしかにシカだがアシカはたしかシカではない江戸の殿どのの喉にも浅田飴水戸の殿どのの喉にも浅田飴どの殿の喉にも浅田稀に見アルミニウム野口さんと野本くんがもののみごとにものわかれ右目右耳右耳右目紙噛む亀も神☆ヴォイス青春映画ストーリー映画「神☆ヴォイス」 11月公開」

「「「………」」」

「ね、僕が優勝でしょ」


そう言ってチョロ松は固まるきょうだいを置いて下へと降りていった。


「チョロちゃんの頭の中…どうなってんの?」

「「「それな」」」


優勝者であるチョロ松には後日銭湯のコーヒー牛乳が手渡された。
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