鬼ごっこ1
子供の頃。いつまでも遊んでいたいから、と公園に遅くまでいると必ず
他の子供が迎えに来た親に連れられて帰る様子を目の当たりにした。
羨ましくてしょうがなかったのに 公園にいつづけたのは一種の意地だったのかもしれない。
親がいないからこんなに遅くまで遊んでいれるんだぞ、と強がったり
もしかしたら迎えに来てくれるかもしれない、とありえない考えに縋りついていたり。
暗い道を一人で帰るのが余計空しくなるから 早く帰るべきだったのだ。
そう、あの日も。
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鬼ごっこ。
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「イルカ、今日の飲み会行くか?」
同僚の間延びした声が人数も疎らとなった職員室に響く。
「行く気だけどそれがどうかしたか?」
「もしカカシ上忍に会ったら、この前の任務の報告書を早めに出すように言ってもらえないか?俺よりお前のほうが接点あるだろ」
忙しなく手を動かす同僚から託された内容は 今のイルカにとって、最も請け負いたくない事柄だった。
「飲み会にカカシ先生が出席されてたらな。」
今日の飲み会は上中忍の親睦を深める為にと 里長である綱手直々に開かれた飲み会だ。
「頼む。」
申し訳なさそうな隣の同僚の頼みを断りきれるはずもなく、イルカは渋々聞き入れたのだった。
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