遺伝子レベルで恋してる2

「どうしてですか」
「だって、イルカ先生の匂い‥‥すごく良い匂いなんだもん。安心するというか、そそられるというか」
この時 初めてカカシさんを変態だと思わざるをえなかった。
だって俺の体臭だぞ!汗まみれだったり 授業の演習で砂まみれだったり。
そんな男の体臭をよくもまぁ "良い匂い" と言い切ったものだ。
「俺の匂いなんて良くなんかありません、アンタの鼻か頭どうにかしてるんじゃないですか」
「酷い、先生。それに これにはちゃんと理由があるんです!」
目だけを見れば真剣そのものなんだが、鼻に人のTシャツを押し付けたまま匂いを嗅いでちゃ説得力もあったもんじゃない。
「理由?ですか」
「そうです。ほら、オレ達って髪も肌の色も違うでしょ。それは遺伝子の遠い証拠であり、イルカ先生に惹かれる一つの要因なんだと思います」
あー、何だか聞いたことある。確か自分とは違う遺伝子を持つ者のほうに人は惹かれるようにできている‥‥とかなんとか。
「だから、オレがイルカ先生を良い匂いだと思うのも そのせいなんです!」
「‥‥それ、屁理屈じゃないですか」
堂々と胸をはって言われたら いくら恋人といえど呆れるしかなかった。
「じゃあ先生もオレの匂いを嗅いでくださいっ。そうすれば解るでしょ」
「嫌ですよ、何でわざわざ。そんなの嗅がなくたって分かります」
そう。匂いを嗅がなくたって分かってる。
俺だって アンタと同じように
遺伝子レベルで恋してることを。

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ゆっくり更新ではありますが これからも「白黒の世界」をよろしくお願いします。

拍手:2011/01/17
異動:2011/05/04 黒月 カイム

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