ものごとすべてはほどほどに5

そうか。いくら酔っていたから、といえども野郎同士のキスは余興にするにも悪趣味すぎだ。
ましてや相手はあの写輪眼のカカシと名高い人。
それなら職場の女性教員に限らず里中の女性陣から冷たい視線を浴びせられてもおかしくない。
カカシさんの家に来るまでの奇妙な行動も、同僚が冷や汗をかいたのも説明がつく。

「あれ?じゃあ今朝起きた時の不可解な躯の痛みは何だ?」
あまりの事に、本音が口をついて出てしまった。
「すみません。全てオレが悪いんです。結果的にイルカ先生の酔いに乗じて キスだけに飽きたらず、肉体関係まで結んでしまって」
「肉体関係!?」
思わず素っ頓狂な声を出したせいで またしてもカカシさんは泣き出しそうな表情になった。
「‥‥‥飲み会でキスをしてもらった後、
気まずい空気になったのでオレ、イルカ先生をこの家まで送って来たんです」
正座した状態で膝の上で握りこぶしが震えているのは、泣くのを必死に堪えているのだろうか‥‥。
「玄関までで帰ろうとしたら『ベッドまで運んでください』なんて誘い文句を言ってくるし。せめて戸締まりはしてくださいと注意したら『炊飯器の横に合い鍵がありますからカカシさんドーゾ』と言ってくるから」
声色が段々と震え、そして掠れてきていた。
「それで、辛抱たまらなくなって‥イルカ先生をおか」「わーわーわー!!」
とうとう聞くに堪えなくて、大声で返事をかき消した。

「ほらね‥やっぱり」
ボタボタッ、と音をたてて大粒の水滴が流れ落ちた時には遅かった。
そんな姿を見せられたら、失意や絶望などの感情がひどく伝わってきてしまう。
「か、カカシさん」
「良いんです!どうせ、どうせオレの一人よがりだったんです。先生には‥オレの思いなんて、微塵も伝わらないのに‥‥」
上忍が涙を流すだなんて予想だにしない光景に よけい同情心が募ったからなのか、
それとも激しい胸の高鳴りに頭をどうにかしていたのか、

「どうしたら泣き止みますか?」

気づいた時には俺はそう言っていた。


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次でラストー!(の予定)
2011/03/23 黒月 カイム
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