ものごとすべてはほどほどに3

「あの、カカシさん」
受付を出て 今は往来を歩いているというのに、繋がれっぱなしの互いの手に違和感を覚える。
ただでさえ今日は周りからの視線が痛いというのに、余計酷くなっている気がする。
「どうかしましたか?先生の家はこっちでしょ」
たしかにカカシさんの行く方向には俺の家がある‥‥‥て、いやいや待てよ!
なんでカカシさんが俺の家を知っていて しかも送ってくれているんだ?
「ほら、着きましたよ」
そうこう考えを巡らしていたら とうとう家の前にまで着いてしまっていた。
「‥‥わ、わざわざ送っていただきありがとうございました」
カカシさんの行動は少しお節介にも感じたが、一応送ってもらったんだしと深く頭を下げたら、
「はぁ?」
と場違いな声を出された。
「よそよそしい事言わないでくださいよ。‥‥‥オレ達の仲なのに」
ぼそり、と付け足された言葉に 今度はこちらが場違いな声を出しそうになる。
「もー、さっさと中に入りますよ」
カカシさんがポーチから取り出した物に 目をみはった。
う、ウチの鍵じゃないかあぁぁ!!
何でカカシさんが持っているの‥‥しかもさっそく人の家にまで勝手に上がり込んでいるし。

そうだ、きっと総ての原因は昨日の自分がした事にあるんだ。
「カカシさん」
そう思った俺は彼の名前を呼んだ。
「どうしまし」「昨日、一体何があったんですか?」
彼の態度は まるでここが我が家だと言わんばかりの寛ぎようだ。
「お、覚えて‥ないんですか?」
そんな様子も一転して、今は微かに震えている。
「すみません。‥‥同僚達と酒を飲んでいる所から記憶が途絶えてしまっていて」
きっとカカシさんは俺が昨日の事を忘れているだなんて これっぽっちも思わなかったのだろう。
信じられない、とでも言いそうな 絶望感や哀しさが入り混じった表情をしていた。


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モジモジオドオドしているカカシさん。
イルカ先生との恋は成就出来るか!?

2011/03/11 黒月 カイム
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