ものごとすべてはほどほどに2

「こんにちは〜、イルカ先生」
「カカシさん」
途端、隣の同僚の動きが何故だか固まった。
それを深く気にしないようにして報告書に目を通せば
「ナルト達は今日‥‥」
7班での任務だったのに、いつも見慣れた活発な金髪頭はどこにもない。
「あ、あぁ。疲れたと言いはっていたので現地解散にしました」
「そうでしたか」
アイツらも頑張っていると思うと、ついつい頬が緩んでしまう。
「報告書も不備はありませんし、任務お疲れ様でした」
だから こんなことではいかん!と気合いを入れ直してそのセリフを言ったのに
なんでだかカカシさんは帰る素振りをみせない。
「先生、今日‥‥その、先生のお宅にお邪魔しても、よろしぃ、です、か?」
えらくしどろもどろな口調で言われたせいもあって カカシさんの真意がつかめない。
「どうして俺の家に?」
「えっ!?」
質問の仕方が悪かったのか‥‥‥カカシさんは目を見開き 顔を真っ赤にして 更には拳を震わせてコチラを見ている。
よほど驚かせたか、怒らせたかしてしまったようだ。
「はは、はたけ上忍!」
横槍を入れたのは みるからに慌てた同僚だった。
「うみのは二日酔いと朝からの勤務の疲労で、少し頭がついていかないみたいなので もう帰って休みたいそうなんですがっ」
口がきけたなら"はぁっ!?"と大声をあげていたろうに カカシさんの無言の重圧で俺は動けなくなっていた。
「そうだったの?」
この場をやり過ごすためには頷くしかなかった。
「だからさっきから ぎこちなかったんですね。顔色も悪いみたいですし」
顔色はアンタのせいです、とは やはり言い出せず。固まっていればスッ、と頬にカカシさんの指先が触れる。
「だったら早く帰って寝なきゃ。オレ送りますから」
え、えええぇ!?
笑顔とともに吐かれた言葉に やっとの思いで心の叫びを飲み込んだ。
「昨日はたけ上忍も酒の席にいたから、詳しくは当事者に聞いてくれ」
同僚が小声で言ってくる内容に疑問を抱いた。

昨日は何かをやらかしてしまったのは、俺一人じゃないのか?
何だよ、その"当事者"って。

「どうしたんですか?イルカ先生、早退届けなら隣の人がやっといてくれるでしょう。さ、早く」
同僚に尋ねたかったが、そんな暇もなく カカシさんに腕を掴まれ俺は受付から引っ張り出されてしまったのだった。


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「深層は忘却の中!」
と言えば少しはカッコがつきますかね?

すっかり浮かれ気味なカカシさんと 終始あたふたしてるイルカ先生の今後はいかに!?

2011/03/05 黒月 カイム
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