結婚事情6

「何かご不満の点でも?」
言葉は丁寧なままカカシは二人のご意見番に強い視線をおくる。
真剣そのものな表情に またイルカの胸は苦しめられた。
「カカシ、よく考えぃ。そのどこの家の出だかわからぬ者にお主の伴侶が務まると思うのか?」
「今でも充分務まっていますよ」
「わし達は血筋の事を言っておるのじゃ!」
イルカは何故 カカシが"チャクラの消費を抑えて"と繰り返し言っていたのか理解した。チャクラは精神力と体力のエネルギーを練り合わせたもの。
だからこそ いるだけで精神がすり減らされてしまうこの空間で 不用意にチャクラを使うのは危険なのだ。
「第一、私が頼んでいることは結婚の容認ではなく お見合いの話を今後一切もちかけて来ないでほしい、という事ですよ」
「その程度の小娘を連れて来るしか出来んのなら、尚更その要求はのめん」
激しさを増す舌戦。
中忍ごときが入る隙など、微塵もない。
だが。
イルカは拳を固く握りしめた。
「ご意見番様っ、」
はりのある声で、凛とした眼差しで、イルカは向き合い 頭を下げたのだ。
「カカシさんと私が不釣り合いなのは重々承知のうえです。身分も、能力も、容姿も、何一つとして満足ではないでしょう」
「ィ、‥‥‥アシカさん!?」
いきなりの行動にカカシの声は裏返っていた。
「ですがこの人の隣にいる以上、それなりの覚悟はできております。敵に捕らえられた時に足手まといにならぬよう 自決する事だって‥‥‥」
ご意見番の貫かんとする程強い視線と重たい空気に 緊張は増すばかりで、イルカの指先は震えていた。
それでも、イルカは怖じけづくことなく、顔をあげる。
「カカシさんの為ならば、そんな事苦でもございません!」
女の姿でさえ 自分はカカシと釣り合わないのだ、とイルカは理解していた。
だからこそ 最後くらいはカカシの役に立ちたい。
その事しか、イルカの頭の中にはなかった。



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まだ少し続きます
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