結婚事情5


「この人が婚約者のアシカさんです」
「わたつみアシカと申します」
何度も打ち合わせした通り イルカは偽名を名のって頭を下げた。
「聞いた事ない名じゃのう‥‥」
「えぇ。一般の方、ですから」
カカシの強調した言い方に ご意見番の表情が曇る。
せっかく運ばれてきた料亭自慢の料理も、この鉛より重たい空気に 箸をつけられないでいた。
「ゥホン、そなたの両親は何をしていらっしゃるのかな?」
待ってましたと言わんばかりの質疑。
「両親は九尾の際に亡くなり‥‥面倒をみてくれた祖母も随分前に他界しました」
伏し目がちに、感情を込めて。
イルカは誰がみても100点の演技をしていた。
「つまり身寄りはいない、と」
「‥‥カカシとはどこで逢うたのじゃ」
「ハウスキーパーの仕事で、カカシさんのお宅に派遣されたのが初対面でした」
上忍クラスになれば 中期、長期任務はざらにある。
だから お手伝いさんを雇って家を管理してもらうのも珍しくはなかった。
「ハウスキーパーが家の者と関係を持つのは、(仕事の)規約などに引っ掛からないのかえ?」
考えてなかった問い掛けに内心イルカの焦りはつのる。
「私もそう考えましたので、アシカさんにはとっくの昔に仕事ならやめてもらってます」
「それでは今は‥‥」
「もちろん私の家で同棲、という形をとっています。ハウスキーパーを勤めるくらいですから、家事、炊事は一通りこなせますよ」
汗一つかくことなく、カカシはたくみに虚構を組み立てていく。
「問題は他にありますでしょうか?」
丁寧な中にも どことなく凄みのような威圧が感じとられる。
協力している立場のイルカでさえ、その威圧に押し潰されそうになった。
「‥‥‥やはり、認めるわけにはいかんな」
しかし、ご意見番も負けじとカカシを睨みつけたのだった。



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すみません、本当に長くなりそうです。
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