結婚事情3

イルカは身支度を整えて 昨日のことから頭を離す。
カカシが"あの人"を思う気持ちや理由は痛いほどわかったのもあるが‥‥‥、
イルカは気づいたのだ。
(もし、無事に全てが終わったら)
カカシは結婚してしまう。その事実にイルカが感じたのは 羨ましさではなく、恋愛特有の"嫉妬"だった。
「馬鹿だなぁ」
好きな人が結婚するか否かの状況で 始めて自分の恋心に気がついた自分を
イルカはそんな風に自嘲した。


イルカはモヤモヤを抱えながら、カカシに指定された住所へ向かう。
急なことに、ご意見番との顔合わせを今日執り行うというのだ。
「待ってましたよ」
そこは比較的新しい庭付き一戸建ての家で、既にカカシが中にいた。
「別荘?ですか」
「まぁ、一人で暮らすには広すぎるんで物置がわりに使ってるんですよ」
カカシの後についていくと 着物たんすと姿見が置かれた和室に通された。
「ここで女性に変化していただいた後の身支度をしてもらいます。」
「服ごと変化するんじゃ‥‥‥?」
大抵の場合は 術で衣服まで全てを変化させるので、衣服や化粧といった代物は必要ないのだ。
「あのねぇ、これから会うのは忍の中でもかなりの実力を誇ったご意見番ですよ。普通の変化の術なんて簡単に見破られます。それに長いこと変化してなくちゃいけないから、チャクラ量も心配ですし」
カカシのため息をつくような言い方に イルカは少々ムッとした。
「だったら」
「だから、本体だけの変化ならチャクラの消費も少しはおさえられます。何より背中に特殊な札を貼れば、イルカ先生だと気づかれません」
ききたい事を先に説明されてしまい、イルカは言い直す必要さえなかった。

失敗はできない。だからこそ カカシはここまで手の込んだことをする。
イルカはその事を必死に考えないようにした。

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