ハロウィン

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ハロウィン
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「ハロウィンかぁ」
玄関先に来た子供達にお菓子を配り終えたイルカの背後で
カカシは窓の外を眺めながら呟いた。
「ええ、もう10月も終わりだから速いもんです」
一段落がついたイルカは お茶でも煎れようと台所へ向かう。
「オレ達が子供の頃なんかはありませんでしたね」
「‥‥‥」
 "子供の頃"
簡潔なその一言の中には 忍界大戦、九尾の来襲、その他様々な辛い時期が含まれている。
もちろんそんな時期にハロウィンなんて遊びみたいな行事をやってる暇なんてない。
逆に言えば 今の木の葉隠れは余裕が出てきたという喜ばしいことなのだけど、
この男が思っているのは もっと別のこと。
お盆に茶をのせたイルカは すぐ隣に身を寄せた。
「今の子達が羨ましいんですか?」
「いえ、甘いのは苦手ですから」
そっけない返事をしても、茶を啜っても、カカシの焦点は窓の外に向けられたまま。
(素直に言えば良いのに)
そう思うと お隣りの美形上忍が不思議と どうしようもなく可愛く見える。
「俺は羨ましいです」
イルカも窓の外へ視線を送った。
「だって貰う側だった経験ないのに、いきなりあげる側なんですから。貰ってみたくもなります」
「確かにそうですね‥‥」
貰いたいとまでは思いませんけど。というような返事の仕方だった。
「だからカカシさん。俺にお菓子ください!」
「っ、オレですか!?」
予期せぬ発言に やっとカカシの視線は窓の外からはずれた。
「俺が用意してたお菓子は全部配っちゃいましたし、他に誰がいるんです?」
「いや、だってオレお菓子用意してないし」
イルカの家に潜伏することで、自分自身が子供からお菓子をねだられるのを逃れていたカカシが お菓子を持っているはずなんてない。
「じゃあ、悪戯するだけです
カカシの手にしていた湯呑みをお盆に戻し、イルカはカカシの膝に腰をおろした。
「だったらオレだって悪戯しますよ?」
「さっきはお菓子欲しがらなかったくせに」
「それなら今欲しがるまでです。」
口元はいつも通りの笑みなのに、目は狙いを定めて細められていて
イルカは背筋を震わせた。

「お菓子ちょーだい。イルカ先生

低く甘く響く声。

「甘い物がない分、たっぷり甘やかしてあげますよ」

これから先は、
お菓子より糖度高めな 大人の時間。


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イルカ先生の誘い受け。
ハロウィンという事で小悪魔的なノリになりました。

2010/10/24 黒月 カイム
移動2010/11/02
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