蕎麦










私は中学は阿部達と一緒だった。
高校も一緒でびっくりした。
私は野球部のマネージャーになった。
千代ちゃんもマネージャーになっててびっくりした。
ゴールデンウイークに合宿をした。
みんな打ち解けてきてチームが出来上がってきた。
初めての試合はなかなか楽しかった。
水谷はクソレなんてあだ名がついた。
夏に入るとキャプテンが決まり、キャッチャーとピッチャー等、一人二つ配置を決めた。
夏の初戦は去年の優勝校に決まった。
西浦は2回戦からだから時間あるかぎりめいいっぱい練習した。
結果、私達は勝った。
崎玉、港南…そして美丞大狭山。
5回戦での美丞で私達西浦は負けた。


初めての夏が終わった。


それから二年半、いろんなことがあった。青春というドラマをみんなで築いた。そんな高校生活も


今日で最後。









「…ねぇ…栄口くん」
「ん?」
「…高校生活楽しかったね」
「そうだね」
「…みんなバラバラになっちゃうね」
「…そうだね」
「卒業式終わったら集まろうって言ってたけど何するんだろ」
「後輩達が花でもくれるんじゃないかな」
「そっか…」
「……」
「…今日で高校最後か…。卒業したくないなぁ」
「…なんで?」
「まだ皆と一緒にいたいよ。あーぁ、3年って短いなー。また1年に戻りたいよ。んで夏の大会で美丞をフルボッコにしたい!」
「…お前なぁ(笑)」
「……皆と…、離れたくないよ…」
「…苗字、」


時間はどんどん過ぎていく。
あぁ、もう少しで卒業式。

あの時計の針が一歩進んだらチャイムが鳴る。そうしたら体育館に向かわなきゃいけない。

ずっと言えなかった言葉。彼に伝えなきゃ……



「…あ、あの「好きだよ」

「・・・・へ?」

「…何年一緒にいると思ってんの?苗字の気持ちには気づいてるよ。…俺の気持ちには気づいてくれてないみたいだけど…」

「…え、え?//////」

「…寂しいのは皆一緒だろ。思い出に浸るのはいいけど…そんな悲しい顔しないで」

「栄口くん…」

「…少なくとも俺達はこれからもずっと一緒だろ//」


そう言って笑った彼に彼女は首を大きく頷いた。
ちょうどその時、時計の針が進んだ。最後のチャイムが鳴った。

体育館に向かって歩きだした彼ら。


「もう、終わりだね」


そう彼女が言うと彼は


「…始まるんだよ」


と言った。












なつかしい思い出



思い出を大切に胸にしまって卒業式をした。なにもかも懐かしく思えた。
あぁもう終わる。

そして…始まる。
新しいスタート。



 



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