バレンタイン






寒い寒い冬の日。
今日はいつもと違って皆騒がしい。
あぁ…もうそんな時期がやってきたのかと思い出した。


バレンタイン。














いつものように温かい飲み物を買おうと自販機へ向かった。
ふと声が聞こえた。聞き慣れた声だ。
キョロキョロと辺りを見渡すと校舎の裏に彼がいた。こんな所で何してんだろと声をかけようした時、女子生徒がコチラに向かって走ってきた。

驚きながらも彼の方を向くと彼が気がついたのかコチラに近づいてきた

「見てたの?」
「ううん。辰太郎が見えたから近寄ってみただけ。女子が泣いて走ってったよ?」
「そうだね」
「…それは?」
「捨てるのもったいないからせめて貰ってって」

そう言った彼の手には綺麗にラッピングされた手作りっぽいチョコレート。
食べる?と声をかけてきたので嫌な顔していらないと言った。

「名前は甘いの苦手だもんな」

知ってるなら聞いてくるなよと言って自販機へと向かった。

「先に教室行ってるよ」

そう言って彼はその場を後にした。

「……」











>>>>>>



彼女が教室に戻ると彼はチョコレートを食べていた。

「甘そう」
「甘いよ」
「…美味しい?」
「美味しいよ」
「……」
「どうした?」
「別に。」

彼女はそう言って買ってきた温かい缶ジュースのフタを開けた。

「…あれ?コーヒーじゃないの?」

不思議そうに彼は尋ねた。彼女が持っているのはココア。甘いのが苦手な彼女はいつもコーヒーを飲んでいるはず。
すると彼女は気分だよと言ってココアを一口飲んだ。

「…甘い」
「ココアだからね」
「いらない」
「へ?」
「辰太郎にあげる」
「…いいの?」
「何が?」
「ココア貰っても」
「いいよ」

そう言うと彼は彼女から缶を受け取りココアを飲んだ。その様子をジッと見てる彼女。

「…ん?何?」
「別に。見てるだけ。」
「…ねぇ、名前」
「ん?」
「チョコってカカオだよね」
「そうだね」
「ココアもカカオだよね」
「……そうだね」
「今日はバレンタインだよね」
「………そうだね」
「バレンタインは好きな人にチョコを送るんだよね」
「…………そう…だね」
「…ホワイトデーのお返しは甘くないやつのがいい?」

そう言うと彼女は逃げるように「コーヒー買いに行く」と言って席を立った「俺も行くよ」と言って彼は彼女の後を追った。
















バレバレなバレンタイン

「名前が考えてる事はお見通しだよ」
「うるさい」
「…でも来年は普通に手作りチョコが欲しいな」
「…///」




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