ホワイトデー
バレンタイン。好きな彼にチョコをあげる日。ホワイトデー。チョコのお返しをする日。
バレンタインは奇しくもインフルエンザにかかり学校には行けなかったので何事もなかった。
バレンタインさえ無事に過ぎてしまえば大丈夫だと思っていた。
今日はホワイトデー。
「苗字ー!!」
うわ、今日もウザいのきたと思いながらも「何?」と聞くと今日はやけにテンションが高い。
「今日は何の日だ?」
「はぁ?」
「正解はホワイトデーだ!!」
「いや、まだ答えてないし」
「っていうことでお返し☆」
「いや、私バレンタインあげてないし」
「やっぱりお返しは俺、自身?」
「いや、っていうか話聞けよ」
抱き着いてこようとする阿部を避けながら話していると教室に水谷と花井が入ってきた。
「あ!ちょうどいい所に!花井くん助けてよ!」
花「はぁ?またぁ?…いい加減にしろよ阿部」
水「阿部も懲りねぇなぁ」
阿「うっせ黙れクソレ」
水「なんで俺だけに逆ギレすんの…」
花「で?今日はどうした?」
そう言う花井に事情を話とまたため息をついた。
花「バレンタインもらってねーのにホワイトデーあげるやつがどこにいるんだよ」
阿「ここにいるだろ」
「「「・・・・・・。」」」
水「うん。そうだね。目の前にいたね」
花「あぁ、目の前にいたな。キモイのが」
「うん。いたわ。目の前にキモくてウザイのが」
阿「いいから苗字受け取れ!俺の気持ちと体ごと全部!!」
「やー!もう、花井くんなんとかしてよ!」
花「なんとかって言われてなぁ…」
水「…とりあえず、追いかけ回してんの止めたら?」
花「止めんの?」
水「めんどくさい?」
花「あぁめんどくさい」
水「だよね」
そんなこと言いながら仕方なく阿部を止めて彼女を自分達の後ろに回した。
阿「邪魔すんなよ」
花「まぁまぁ、つか苗字、嫌がってるだろ?」
阿「馬鹿かお前。見ればわかるだろ?照れてるだけだ」
水「照れてるように見えないけど…」
花「と、とりあえず、ホワイトデーって自分自身をお返しにあげるようなものじゃないだろ?何かお菓子とかが普通だろ?」
阿「普通じゃつまんねーだろ」
水「まず阿部が普通じゃないもんなぁ…」
阿「さっきからうるせーぞクソレ!」
水「またクソレって言った!!」
花「まぁ落ち着け。…だいたいバレンタイン貰ってないんだからホワイトデーにお返しなんかするなよ」
阿「俺はいつも苗字の私物を貰ってるからそのお返しだ!」
花「……何かあげたのか?」
「……盗まれてるんだよ」
阿「飲みかけのペットボトルとか使い終わった割り箸とか、」
水「…軽くストーカーじゃない?」
阿「脱いだジャージとか、」
「「軽くねぇよ」」
阿「だから今日は俺のモノを苗字にあげるんだよ」
ニヤッ(仝ω仝)と笑った阿部に水谷と花井は凍りつくように引いていたらその隙に後ろに回って彼女をまた追いかけはじめた。
水「なんであんなにキモイんだろうな…」
花「…阿部だから仕方ない」
水「今日も平和だな」
花「そうだな」
キモベのホワイトデー(仝ω仝)