お題 | ナノ


  二人きりの放課後


彼の下駄箱に手紙を一つ入れておいた。
学生に戻ってラブレターを出しているみたいでなんだかむず痒かった。
私の前に2通、ラブレターのようなものが入っていた。

女子っぽい可愛い柄のレター。
私のなんか、コピー用紙の紙。
そこにたった一言、放課後時間があるならば保健室に、と。

なんだ、彼はモテモテなんだな。
当たり前か、あの容姿に性格も良い。
(先生にタメ口きく良い性格もしてるしね。)

私なんか、年齢も離れていて付き合ったって色々違いが出てくる。
ジェネレーションギャップに私が耐え切れるかどうか、と聞かれれば
答えは……

そんなことを回想していたら遠慮なしにガラリと保健室のドアが開いた。


「ノックをしなさい、ノックを。」

「すみません、はやる気持ちと少々の悪戯心が……。」

「驚かそうとしてたのね……。」


少し緊張しているのはあちらもそうだった。柔和な彼の微笑みがどことなく硬い。
告白の答えを受けるから当たり前か。

こっち座って。と自分の前にある椅子をポンポンと叩き目で促す。
彼は失礼するよ、といって座る。
「カヲルくん、早速だけれど告白の返事いい?」

「……はい。」


珍しくカヲルくんは敬語になった。少しどころかかなり緊張してるぞこの子!


「答えは付き合ってもいいけれど、条件つき。」

「条件ですか……い?」


今度は言い直した。そのまま敬語でいきなさいよ。
変な単語になってて、真面目に話そうとしてた私は吹き出しそうになったわよ。


「そう、条件。それはカヲルくんの高校卒業が絶対条件。その間に彼女を作ったりしたらダメだからね。」

「うん、了解。」

「え、即答?もっとこれから恋するかもしれないわよ?あと学校では敬語。」

「誰かに恋なんてしないと思うけれど、もし恋しそうになったらもっと名前を好きになればいいことだろう?」


敬語のところはいつも通り無視をされた。
まあ、もういいか。なんて思っていたら手を掴まれた。


「キス、したいな。」

「学校よ、ここは。」

「それでもしたい。」

「先生と生徒よ?」

「そんなの、関係ない。」


徐々に近づく彼の顔に逆らえず目を瞑る。彼の香りに包まれた瞬間、脳内がクラクラとした。

ああ、もう私も結構、彼のこと好きみたい。


後日、結局カヲルくんは私の家に入り浸って、付き合ってるみたいな感じになってた。
そんな時、彼が言ってたんだけれど、

「年齢の壁は敬語をなくすことから壊せるかと思っていたよ。」

なんて言われた。お前は最初っから私を狙っていたのか……。
確信犯め。


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