部室に入るといつもは遅刻してくるのに今日は珍しく一番乗りの遠山がおった。

ぽりぽりとポッキーを食べとる、こっちに気付いたんか「ざーいぜん!」と言ってかけよって来た。

「財前!今日何の日か知っとるかー?」
「…ポッキーの日やろ。」
「おお!よく知っとるな!流石財前やで!」

そりゃ、ポッキー食べとるんやから気付くやろ。
隣でぴょんぴょんはねるやかましい遠山を横目で見ながら俺はケータイをいじる。

「そんでな、財前に聞きたい事があるんやけど、ポッキーゲームってなんや?」

ケータイをぱたんと閉じて遠山を見るとじーっとこっちを見とる。
こりゃ、教えんとまたやかましい事になりそうやな…。
俺は渋々教えてやる事にした。

「ポッキーゲームっていうんはな、ポッキーの端と端に口を付けて、そのまま食べてくっていう遊びや」
「ふーん…でもそれどこが楽しいんや?」

「まあ、遠山にはまだ分からんかもしれへんけどな、そのまま食べていくとキス出来るやろ?それが魅力らしいで」

遠山が持っているポッキーの袋から一本ポッキーを取り、ぽりぽりと食べる。

「なあなあ、それやったら普通にキスすればええやん?よくわからんなあー…」

「まあ、キスしたいって言えないようなヘタレがする事やろ。」
謙也さんみたいな。と心の中で付け加える。

遠山はというと一人でふーん、ほー、と一人で何か考えとるみたいやった。

しばらくしても何も聞かれへんからまたケータイを開こうとした時、また横から財前財前と声が聞こえる。

「財前!ワイはヘタレやないからポッキーゲームなんかせんでもな」

胸倉をぐい、と掴まれてそのまま唇を重ねられる。
「キスくらい、できるんやで?」
遠山がにこにこしながらこっちを見ている。


その時ガチャリとドアが開き部長が入ってきた。

「おお、金ちゃんに財前とは珍しい組み合わせやな」
「白石!今日はワイ早起きなんやでー!」
「そか、エライなあ金ちゃん」
部長が遠山の頭を優しく撫でながらこっちを見る。


「で、財前はなんで顔が真っ赤なん?」




end




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