仁王がいきなり抱きついてきた。
いつもはあまり自分から甘えてくることはないので俺は少し戸惑った。
「仁王、一体どうしたんだ」
「…参謀の顔見とったら抱きつきたくなっての」
そう言った仁王の顔が可愛いので頭を撫でると背中にまわっていた手に力が入った。
そのまま後ろに倒れるとふわり、と布団に受け止められる。
ふと、窓に目をやると綺麗な満月がうかんでいる。
ああ、そういう事か。
満月の日には犯罪や事故が増える他性欲が高まるというのをどこかで聞いた事がある。
だから仁王はいつもより積極的になったのだろう。
ならば、その誘いに答えてやらねばな。
少し渇いた唇を舐めながら上に覆いかぶさる仁王の腰を撫でると仁王がぴくりと動く。
「ん…参謀」
「蓮二…だろ?」
合わせていた目を軽くそらされ、仁王が頭を俺の頭の隣にうずめて言う。
「れんじ、好きじゃ」
ああ、俺にも満月の力がかかってしまったようだ。
…夜はまだまだこれからだ。
ゆっくり、楽しもうではないか。
end