「なあなあ財前、今日何の日か知っとるか?」

大好きな財前の部屋にお邪魔して(無理矢理押し入ったともいうんやけど)壁にかかっているカレンダーを指差した。

「今日っすか、9月の11日…何かありましたっけ」

いつものように無表情でケータイをカチカチいじりながら話す財前。
この動作、こいつよくするんやけど俺は苦手や…。
もしかしたら嫌われとんのかなとか思ってまうねん…!

でも本当の事は本人に聞いた訳でもあらへんし、あまり気にしない様にして話の続きを話す事にした。

「今日はな…なんと俺の誕生日やねん!」
しーん、と静まりかえり二人の間に沈黙。
これ、しらけたっていうんやろ…しっとるで…。

「まあ、さっきの何もないと思っとったっちゅーのも嘘なんすけど」
「は?嘘…じゃあ覚えといてくれてたんやな…!」
覚えとってくれたんが嬉しすぎて財前に飛びつきたくなった。
でも、嘘ついとった理由が分からへん…一体どんな理由があるんやろ。

「なあ、なんで知らないフリしとったん?」
思い切って聞いてみる。
さっきまでずっとカチカチといじっとったケータイをパタンと閉じて軽く目線をそらされる。

「……プレゼントとか何買っていいか分からなかったんすよ…、あげないのもあれやし悩んでたら時間なくなって」

めちゃくちゃドキっとした。覚えてくれとっただけでもめちゃくちゃ幸せやのに、プレゼントの事まで考えてくれとるなんてめちゃくちゃ嬉しくて。
もう頭ん中めちゃくちゃや。

我慢できなくなってベッドに座っていた財前をぎゅっと抱きしめた。

「…一氏先輩、どうしたんすか」
「さっきの財前が可愛すぎたんが悪い、あれされて惚れへん男なんておらへんわ」

腕に力を込めて、ぎゅうっと抱きしめる。

しばらくしていると腕が痺れたんか、財前が支えていた手をベッドから離した。

どさ、と俺が財前を押し倒したみたいになる。

財前を見るといつもの無表情で俺を見つめとった。

その顔を眺めていると、ふと頭にこんな言葉がよぎった。

これ、キスとかした方がええんかな…、てかしてもええんかな…?引かれへんかな…

俺は頭の中大混乱やのに、下にいる財前はいつもの様に無表情。

でもそんないつも通りな財前が可愛くて、俺は自分なりの真剣な顔をして。

財前にキスをした。

口を離して下にいる財前は、いつもの様に無表情なんやろか…と思ったら、少し顔が赤くなっていて。
たまらなくなってまたキスをした。

「その、一氏先輩、その」
「名前で呼んで欲しいんやけど。」

ぱくぱくと戸惑いながら喋る財前が可愛くて意地悪をしてしもうた。
あとで謝っとこ。

「ユウジ先輩、あの」

そんな財前を見ながらこんな事を考えた。
「財前のファーストキスが誕生日プレゼントやな。」

そう呟いて俺はまたキスをした。


end


Happy Birth Day!


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