「あ!ひよC〜足、赤くなってるよ?蚊に刺され?」
練習が終わって着替えている時、芥川先輩に言われて足を見てみると赤い跡。

「いや…かゆい訳ではないんで…蚊じゃないと思うんですけど、ふくれてる訳でもないですし」
蚊以外の虫刺されにも見えないし、虫刺されにすら見えない…。

「うーん、じゃあなんだろうね〜?」
近くでじーっと芥川先輩に見られる。
しばらく見られたままになっていると、芥川先輩が、あ!と声を出し、にやにやしながらこっちを見てきた。

「あ、分かった〜!キスマークじゃない?」
意外な事を言われて焦る。
「なっ…何言ってるんですか…そもそも、相手がいませんし…!」

「え〜?怪C〜!」
先輩はまだにやにやしながらこっちを見ていた。




着替えが終わった後、俺はある人の元へと走っていた。

先ほど芥川先輩と話している時はなんとか誤魔化せたが、それが本当にキスマークなら、ちゃんと本人に言っておかないと…。
「はぁ…はぁ…忍足さんっ!」
追いかけていた相手、跡を付けた本人の元へとたどり着き、少し息を整える。

「なんや日吉か、そんなに急いで、どないしたん?」
「どうしたも…何も…!足!」
足、という言葉を聞いて忍足さんはああ、という顔をした。
「そんなに日吉は俺に足触られたいん?全く…仕方ない子やなあ」
「そんなバカな事言わないで下さいっ…!跡付けたでしょう、俺の足に。」
自分の足を指さしながら言う。

さっき言われたような事を言われるのはもう慣れたので普通に流す事にした。
一方忍足さんはまだ何かを考えている顔をしていた。
「どうしたんですか」
「いや…付けたかなぁ思てな…ほんまにそれキスマークなん?」

「虫刺されではなさそうですし…自分でもあまり分かりませんが。」
忍足さんはまだ考えているような顔をしている。
「見たら思い出すかもしれんし…一回部室戻って見せてくれへん?」

「………確認するだけですよ」
仕方なく忍足さんと一緒に部室へ戻る。
鍵はまだ閉まっていなかったのでそのまま中へ入る。
「じゃあ、見せてくれへん?」
「………わかりました」

ズボンを脱いでいく。……正直嫌な予感しかしない。
流石に部室だしそこまではしないと思うが…不安だ。

ズボンを脱いで赤くなっている部分を見せる。

「ここなんですけど、思い出しました?」
「あー…そうやな…」
近寄られてジロジロと見られる…。
なんだかすごく恥ずかしい気がしてくる。
「早く思い出してくださいよ…さっさとして下さい…」
「んー…」

まだジロジロ見てくる…いい加減やめてほしい…。
目がいやらしい気がするのは気のせいだろうか。
色々考え事をしていたらいきなりそこをぺろっと舐められた。
「っ!!」
「あ、思い出したわ。この前俺の家でえ…」
「最後まで言わなくていいです!!」

はーはーと息を荒くして叫んでしまった。
急いでズボンをはいて服装を整える。

「全く…忍足さん、もうやめて下さいね。跡つけるのは…。」
「じゃあ今度からは見えない所につける事にするわ」
にこにこしながらこっちを見る忍足さんを心底うざいと思ってしまった。
なんでこんな相手と付き合っているのかと思うが好きなんだから仕方ない。

「なあ日吉。」
「はい?」
「キス、してええ?」
「は?ここ部室ですよ?人来るかもしれっ…んんん…」

返事を言う前にキスをされてしまった。
そのまま追い込まれて背中と壁がぶつかる。

やっと口を離されたかと思ったら首すじに吸い付かれた。
「ちょっ…忍足さ…」
「んっ」
しばらくして忍足さんが離れた時、俺はずるずると壁にもたれかかってしまった。

「日吉…ほんまかわええなあ、ほら手貸したるから」
自分からやっておいて…と思ったが俺は仕方なく忍足さんの手をとる。
「ほな、家まで送ってやるわ。手つないでええ?」
「…もう握ってるじゃないですか。仕方ないですね、一緒に帰ってあげますよ」
手をつなぎその日は一緒に帰ったのだった。





「あー日吉!今度は首にキスマークついてるC〜」
「……はい?」
鏡を見ると昨日忍足さんにキスされた所が赤くなっていた。
後ろを見るとにやにやする芥川先輩と…忍足さん。
全くあの人は…!と俺は心の中で思ったのだった。


end






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