学校から帰ろうと電車に乗って、ちょうど前の席が空いたから座った。
そしたら隣に座ってたやつがぐうぐう寝てて、俺の肩にもたれかかってきた。
なんだよ…と思って隣の奴を見たら氷帝の制服を着ていて。
よく見たら俺の事尊敬しているって言ってくれている…なんだっけ?芥川とか言う奴だったっけ?って奴だった。
降りなきゃいけない駅に着いたから降りようかと思ったけど、こいつもたれかかってるし、ぐっすり寝ていたから起こせなくて結局終点まで来ちまった。
それで、仕方ないから起こそうと思ってこいつの顔の方を見たら目がぱっちり開いていて、今に至る。
「…なんで丸井くんがいるの?」
「お前が俺の肩にもたれたまま寝ちまって終点まで来ちゃったからだよ」
「…夢じゃないの?」
「夢じゃねえよ」
その言葉を聞いたとたんぱあっと顔が明るくなって立ち上がった。
「マジマジ!?ちょーうれC〜!!丸井くんの隣で寝てたとかちょっと恥ずかC〜けど…!」
さっきまで大人しく寝てた奴とは別人みたいにはしゃいでいる、超楽しそう。
「あ!俺、氷帝の芥川慈郎!よろしく!」
手を握られぶんぶんと振られる。めちゃくちゃテンションが高い。
「その前にお前ここの駅終点だけど大丈夫なのか?帰りとか。」
「俺の家ここの駅だから大丈夫だよ?丸井くんは?」
「俺は過ぎちまったからこれから帰る」
「もしかして俺のせい……。」
しょぼん、と少し悲しそうな表情をして芥川が電車から降りた。
「別に芥川のせいじゃねえよ、気にすんなって」
俺は芥川の方へ歩いて行き、頭をくしゃっと撫でた。
「丸井くん優C〜!あ、あとあと俺の事は慈郎でいいよ?」
さっきまで落ち込んでたのにもうにこにこしてる、表情がころころ変わって面白い。
「でもお前だって丸井くんって呼んでるだろぃ?だからこれでいいんじゃねえの?お互いに名字でさ。」
二人で階段を上りながら話す、いつもより少し短く感じる。
「だって丸井くんの事尊敬してるし名前じゃ呼べないよ。それに」
芥川が一番上まで上った所でくるっとこっちを向いて、言った。
「俺、丸井くんに名前で呼んでもらいたいC〜?」
その時笑った顔がすっげー可愛くて、なんかドキドキしちまった。
「お…おう、じゃあ慈郎に君つけてジロ君でどうだ?」
「じ…ジロ君…
目を瞑って嬉しそうな顔をしている様子を見ると、気に入ってもらえたみたいだ。
「じゃあジロ君、俺は反対の電車に乗って帰るな」
「え…もう帰っちゃうの?もっと話したかったC〜…」
「でも腹減ったし弟達が待ってるんだよな…だからまた今度な?」
「うん、じゃあまた今度会えた時はもっとたくさん話したいな!あと試合も!」
「おう!俺の天才的妙技見せてやるよ!」
「マジマジ!やった!うれC〜!!」
ぴょんぴょんはねながら俺の方にジロ君が飛んできてぎゅっと俺に抱きついてきた。
なんかめちゃくちゃ顔とか全身が熱くて、変な感じだぜ…。
「ちょっ…ジロ君、暑いだろぃっ」
「暑いけど、丸井くん可愛E〜し、このままでいたいなあ…」
可愛い…?俺が?かっこいいじゃねえの?
「ばあか、俺はかっこいいだろ?」
「かっこE〜けど、可愛いの!」
なんか俺より身長小さくて可愛い顔してる奴に言われるとムカつくけど。
「お前の方が可愛いんじゃねえの?俺より小さいだろ?」
「そうじゃなくて…なんか、雰囲気?」
雰囲気?いやそれこそお前だろ…とか心で呟いたけどもう気にしねえ事にした。
「まあ男だし、俺も丸井くんにかっこE〜って思われたいけどね?」
あはは、って笑ながらジロ君が離れる。

「いや、まあ…さっき抱きついた時はかっこよかったと思うぜ?」
正直こういう事言うの慣れねえけど、恥ずかしいけど。
「えっ本当!?超嬉C〜!!」
またジロ君に抱きつかれる。
めちゃめちゃ恥ずかしいんだけどな…。
「ジロ君っ、暑いって。」
「……丸井くん?俺、丸井くんの事好きかも。」
は…?すすすすす好き?
いや、これは普通に友達としてだろ?え?
「それは、あの…恋とかの方の意味で?」
「……たぶん。」
かなりビックリした。でも、それ以上に感じた事があった。
ジロ君が不安なのが、触れている所から伝わってくる。そりゃ、好きって言うのは難しいもんな…。しかも同性なんだし。余計だよな。
「ジロ君?大丈夫俺そのくらいじゃ嫌わないぜ?むしろ嬉しいって。」
不安なのが消えて欲しかった、それに本心で嬉しかったから。俺はこう言った。
「本当…?えへへ、嬉しいな。ありがとう!」
ジロ君が俺から離れる。
その時の笑顔がめちゃくちゃ可愛かった。
「丸井くん、俺が丸井くんと試合できるようになる頃には丸井くんに似合うような男になるね!」
「おう!待ってる!」
じゃあまたねー、と言ってジロ君が階段を降りて行った。
深呼吸して、少し混乱してたけど一つ思った。
……早く試合してえな!

end



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