「ざーいぜんー!!!」
部活帰りにいつもはあまり会わない遠山が何故か追いかけてきおった。
俺はこいつが少し苦手や。
いつもいつもやかましいし、俺の方が一応先輩やのに馴れ馴れしいし。
「なあ、財前ー!ワイ聞いたでー!今日誕生日なんやってな!おめでとうー!」
走りながら大声で叫んで追いかけてくる。
少し恥ずかしい
「声でかいんやけど、恥ずかしいわ」
「えー?なんでなん?1つ大っきくなったんやろ?ワイもはよ大きくなりたいわ!」
隣を歩きながらぴょんぴょん跳ねている。
こういう所が苦手なんや。
「そんでな!誕生日やからワイ、プレゼント考えてきたん!」
「プレゼント…?そんなのいらないんやけど」
遠山の考えたプレゼントやし、どうせ変なものやろ、とか考えていた。
「えー!ワイ一生懸命考えたんやで!受け取ってえなー!」
なあなあ!と腕にくっついてくる。
俺は溜め息をついて、仕方なく
「分かったわ、受け取ったる、んで何くれるん?」
と言うと遠山の顔がぱあっと明るくなった。
「受け取ってくれるん!やった!じゃあじゃあちょっとしゃがんでくれへんか?」
俺はよく分からないまますこししゃがみ、遠山と目線を合わせた。
「ほなほな、目つぶって!!」
何も言わずに言う通りにする。
しばらく待っていたらいきなり口に柔らかい物が当たった。
最初は遠山やし、食べ物かと思ったんやけど口の中に入ってくる感触でそれが何か分かってしまった。
頭の後ろを手で支えられ、どんどん遠山のペースに持っていかれる。
口内をぐちゃぐちゃに乱されて頭もぐちゃぐちゃにされ、やっと口が離れた時は意識がぼーっとしていた。
「はっ…はっ…あ…、っ…」
「ぷはっ…財前めっちゃかわええ!顔真っ赤やし、息上がっとるし!」
誰のせいやと思っとるんや…!と心の中で呟いた。
「遠山っ……なんやこれ…」
「何って、誕生日プレゼントやで!どうや?嬉しい?」
嬉しいも何もいきなりすぎて頭がついていかへん。
俺はやっと心を落ち着かせ、聞きたい事を聞いてみた。
「そもそも…なんで誕生日プレゼントがキスなん…。」
「だってなー、白石に好きな子にプレゼントあげるんだったら何がいいやろ?って聞いたらちゅーがいいって言ってたんやもん!」
あのエロ部長…さすが絶頂を連呼してるだけあるわ。
ってちゃうわ、そうやなくて。
「遠山…俺の事好きなん…?」
「おう!財前の事大好きやで!だからちゅーしたんやで?」
純粋な笑顔で言われてしまい、何も返す言葉がなくなってしまった。
「……遠山、ありがとうな」
「わーい!喜ばれた!」
俺らはそのまま一緒に帰った。
「でなでなー、ワイちゅーの他にもたくさんしたい事あんねん!」
「ふーん…そうなんか…」
「えっとな、なんやったっけ…まあええわ!」
何の事だかさっぱりわからんわ。
「好きやで!財前っ!」
「……恥ずかしいっすわ」


end


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