「シーズちゃん!シズちゃん…!」

昼過ぎの事だ、臨也の声とドンドンとドアを叩く音。
寝ぼけながらドアを開けるとぐすぐすと泣いている臨也がいた。

「…どうしたんだよ。」
「シズちゃんっ…ぐすっ…うう…」
とりあえず家へいれる事にした。
ソファに座らせて泣き止むのを待っていると臨也が自分から喋りだした。

「あのさ…シズちゃん…聞いてくれる?」
「…ああ。」
臨也が少し鼻を赤くした顔で話す。
「シズちゃんのさ…シズちゃんの…」
「俺が…どうしたんだ?」
「シズちゃんの…クッションが…当たらなかった…、背中抱きしめたかった。」

………は?
「おい、ちょっともう一回言ってみろ」
「だから…!シズちゃんの!俺たちを後ろから抱きしめてみたくないかクッションが当たらなかったの!」
「お前帰れ」
臨也のコートのフードを掴みそのまま玄関へ運ぶ。
「だって!たくさん引いたのにさ!シズちゃん…抱きしめたかったんだよ!シズちゃんを!」
じたばたと手足を動かす。
手を離すとドンっと音をたててしりもちをついた。

「お前な…なんでそんなくじ引いてんだよ…目の前に本人がいるってのによ」
「じゃあさ…って事は背中抱きしめさせてくれるの?シズちゃん?」

臨也がいてて…と尻をさすりながら俺を見上げる。
「……仕方ねえな…。」
臨也が落ちた隣に座り、背中を向ける。
「ったく…好きなだけ抱きしめればいいだろ…っ!」
「し…シズちゃん…!!」
臨也がおもいっきり俺の背中を抱き締める。
自分で言ったのになんか恥ずかしい。
「ありがと……シズちゃんの背中骨っぽいね」
「クッションじゃねえからな」
「でもあったかいし、シズちゃんの匂いもするし、気持ちいいよ」
「…恥ずかしい事言うな」
背中からふふっ、と笑い声がした。
……たまにはこういうのもいいな。

end



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