「んんー…名前サン…ただいまですっ…」
新年会からエイジが帰って来た、と思って玄関に行ったら顔が真っ赤でフラフラなエイジがいた。
雄二郎さんから話を聞いたところ、間違えてお酒を飲んでしまったらしい…。
それからあとはよろしく!と言って少し申し訳なさそうに帰ってしまった。
今日はアシスタントの方もいないし二人っきりだ。
「エイジ…?大丈夫?って結構お酒のにおいするね…どのくらい飲んだの?」
「分からないですっ…平丸先生といっぱい飲んじゃったです…っ!未成年ダメだけどジュースだと思って…ひっく」
いつもはテンションが高いけど今はなんだかふにゃっとしている。
「名前さぁんっ…ぎゅうううっ…」
エイジがふらっと私の方に倒れてきた。
体勢を崩してフローリングの廊下にお尻から倒れてしまった。
「ん…いたた…エイジ危ない…」
「思うように力入りませんっ…これであんなに元気な平丸先生はすごいです…」
ぎゅっと抱きつかれてしまいかなりキツイ体勢のまま動けない。
結構手が痛いけどここで踏ん張っていないと頭をぶつけてしまいそうだ。
「ちょっと腕痛いから…一旦離して?」
「イヤですー…離したら絶対名前サン逃げちゃうから抱きつけないですっ!」
確かに逃げようともしていた…図星をつかれてしまった。
「逃げないけど、エイジ疲れてるんだし早く寝ちゃった方がいいんじゃない?」
酔っていないエイジならまだ構おうと思ったけど、お酒飲んじゃったし早めに寝たほうが体にもいいと思ったのは本当、半分は逃げる為だけど。
「わかりました…でも、逃げないんですよねっ…?」
私は何も言わずにこくりと頷いた。
その時一瞬エイジの顔がにやりとした気もした。
「だったら…一緒に寝ましょうっ?」
エイジが酔っているとは思えない勢いですくっと立ち上がり、抱きかかえられてしまった。
さっきはふらふらだったのに…とか考えていたらそのまま寝室に連れて行かれ、ベッドにぽすっと投げ捨てられ、エイジが楽しそうに隣にごろんと横になった。

「一緒に寝れるの久しぶりですねーっ危ないとか思わないですか?」
にこにこしながらぎゅーっと抱きついてくる。
「危なくてもこの状況じゃ逃げられないでしょ、というか逃げさせる気ないでしょ?」
「もちろんでーす!名前サンといちゃいちゃするの大好きですからっ」
自分で危ないと思わない?と聞いてくるとは思えないような可愛い顔ですりよってくる。
可愛いんだけど…やっぱり危ないような。
「名前サンあったかいしやわらかいし気持ちいいです…眠くなってきました」
「寝ちゃっていいよ?というか寝て下さい」
私が笑いながら言うとなんでですかーと言って抱きしめる力を強くしてきた。
「寝ちゃったらいちゃいちゃできないのに…もっとお話してたいで…す…ぐう…すう」
話している途中で疲れてしまったのか寝てしまった。
「寝顔可愛いな…よしよし」
寝ているエイジが可愛くて、頭をくしゃくしゃっと撫でる。
「ん…好きですよー…むにゃむにゃ」
好きの一言で逃げようと思っていたのにこのまま一緒に寝ちゃってもいいかなって思ってしまった。
私はエイジのおでこに軽くキスをしてから、まぶたを閉じた。

実はその事が気付かれていたっていうのはまた別のお話。


end



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