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舌出して嘲笑え
▼テヘペロもフンべろりぃも変わりはない
江戸の街中で特に騒がしいのは歌舞伎町であることは周知の事実であるが、結局昼間に人が通る場所はどこもある程度賑わっている

「…沖田たいちょーサボりやがってクソヤロー」

賑わっている街中を警戒すると共に攘夷浪士への牽制も含めて真選組が巡回している
その巡回は単独のこともあるが二人組で組んでいることも多いのだが…

「沖田隊長許さん」

山野の本日のペアである沖田は姿を消していた。巡回ルート的に車でなく歩いてきたのが仇になったのか気付けば己の隊長は消えていた、まあしかしこれはわりとよくあることなのだが…

沖田が居ずとも巡回はしないといけないため、仕方なく指定ルートを歩き、小路や裏路地へと視線を動かしながらも街中の様子を見る

「今日も平和……ぁ?」

ちらりと見えた薄暗い路地裏で男女があーだこーだしているのだったらまだ良かったのだが、山野の目に写ったそれはカップルのイチャコラにしてはたちが悪いものだった
足音を立てないように近付きつつ刀に手を置き歩みを速め、一瞬
「はーい、動いたら切るよん」

降り下ろされた拳を勢い良く後ろから掴みその勢いのまま路地の壁へと男を叩き付けた
突如として現れた山野により、拘束から開放された女性が膝から崩れ落ちた。
「お姉さん大丈夫…ってあれ?」
「た、助けてくれて…ありがとうッ」

女性が襲われているとしか思えない光景に、襲っていた男を取り押さえた山野へと震えながらお礼を言ったその女性は
最近真選組の女中へ入った麻里だった。



「ベタベタとくっついている割には何にも役に立ってないんだね」
「え?」
適当に麻里を襲っていた男を拘束した山野は応援を呼んだままその場で佇んでいた。その隣へと並んだ麻里には声が届かなかったが、ひらりと手を振り話を変えた

「なんでこんなところにお姉さん居たの?」
「あ…」
襲われていたことへの恐怖か、僅かに身体を震わせた麻里は一度手を握りしめ意を決して声を絞りだす
「実は…副長にお使いを頼まれたのでそれの途中だったんです。その途中にいきなり後ろからッ…ご、ごめんなさい、まだ怖くて」

着物の裾を握りしめ気丈に振る舞う麻里を一瞥した
山野は携帯を確認しながら口を開く
「まあ…そこら辺は副長に自分から言ってよん。もうすぐ来るだろうし」
「え…「麻里っ!!!」

目の前に現れたパトカーから降りてきた土方の焦りようを鼻で笑った山野助手席の人物を見て目を見開いた
「沖田隊長何してるんだよー」
「フンべろりぃ」
ウインクをして誤魔化す沖田を気にせず、拘束した男をパトカーの後部座席へと転がして助手席へと乗り込んだ山野と、それを確認してエンジンをかける沖田。
「副長あとよろしくー!」
窓から首を出して土方へと声をかけるが甘いオーラを出している二人には聞こえていないようで

「沖田たいちょー」
「なんでィ」
「フンべろりぃってなーにー」
「テヘペロみたいなやつでィ」
「へー」
暢気な会話をしながら遠ざかる車体からバックミラーを確認し

「山野」
「はいよー」
ハンドルを手放した沖田に変わり、横からハンドル操作を行いつつも勢い良く飛び出したバズーカに煽られないように沖田の脚を引っ張る。

ドゴォォォォォォン

後ろで起きた爆発と共にシートへと戻った沖田の動きに合わせてハンドルを手放した山野の耳に怒鳴り声が聞こえたが、知らぬふりをしてポケットからゲームを取り出した
「そぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!?!!」

「フンべろりぃ」
「…テヘペロぉ」
山野の隣、悪びれもなく運転席から聞こえた棒読みのそれに、ふと思い返事を口に出したのは気まぐれだったが沖田も気にせずに運転をしている車内では何も変わりはしなかった
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